眠りの最後を充実させるのは「コルチゾール」

眠りの最後は、「コルチゾール」という物質によって起床準備をしています。コルチゾールは起床時間によって分泌量が決まります。成長ホルモンと同じ条件でコルチゾールの分泌のタイミングが示されています。

起床する3 時間前から分泌が増えて起床時がピークになります。睡眠の後半では、血圧、血糖値を高めて、起きられる体をつくつているということです。

成長ホルモンの分泌と違うところは、2日日に眠っていなくても、1日目とほとんど同じタイミングで分泌されているということです。

ここから、コルチゾールは時間に依存する性質があることが分かります。つまり、起床時間を一定にすれは、「スッキリ」起きられるということです。起床時間が一定という基準は、勤務日と休日の起床時間の差が、前後-時間程度ということです。この範囲に収めることができれば、良いリズムがつくられているということになります。

このコルチゾールは、ステロイドという名前で聞いたことがあると思います。ステロイドは多くの種類がありますが、その中でもブドウ糖やタンパク質の代謝の作用が強い糖質コルチロイドがヒトではコルチゾールと呼ばれています。

ヒトは脳や体に害のある刺激を受けると、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) が分泌され、コルチゾールが増加します。

コルチゾールは交感神経を高めるので、血圧や血糖値が上がります。このACTHを増加させる有害刺激がストレッサーと名付けられ、私たちは日常的に「ストレス」と呼んでいます。

ストレスに対抗する準備を十分にしてから起床する仕組みがもともと備わっているぐらいなので、もしかしたら起きて活動するということ自体が、私たちにはストレスなのかもしれませんね。これら3 つのホルモンの特徴から、私たちが睡眠を充実させるためにやるべきことが導き出されました。

  • 「眠り始めを深くすること」
  • 「起床後光を見て就寝時は暗くすること」
  • 「起床時間を一定にすること」

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眠りの中盤に分泌されるメラトニン

眠りの中盤を充実させるメラトニンは、光によって分泌量が決まります。メラトニンは、睡眠のリズムをつくる役割を担い、光を感知すると分泌が減り、暗くなると分泌が増える特徴があります。

メラトニンは、朝減って夜増えるというリズムをもっているので、朝は強い光を見てメラトニンをしっかり減らし、夜はなるべく暗くすることが大切です。

夜中に光を浴びると、増えるはずのメラトニンが急激に減ってしまいます。では、メラトニンが減ってしまうと、どのような影響がでるのでしょうか。

メラトニンは、1980年代以降に強い抗酸化作用があることが明らかになり、老化、炎症、動脈硬化、がんなどの疾患を抑制する物質として注目をされています。メメラトニンがなぜ疾患を抑制すると考えられているのかを、もう少し詳しく見てみましょう。

活性酸素という言葉をご存知でしょうか。私たちの体の中の分子は、通常偶数の電子を持っていますが、これが奇数の電子しか持たないのが活性酸素です。

活性酸素は安定を得るために他の分子から電子を奪います。すると電子を奪われた分子は、また別の分子から電子を奪います。このように、正常な分子から電子が奪われることを「酸化」と呼び、電子をとってくることを「還元」と呼びます。

活性酸素によって「酸化」された分子は破壊されます。これが積み重なると、細胞膜が壊れたり、DNAが損傷されてしまうことから、活性酸素は、老化や疾患を引き起こすと考えられています。

抗酸化作用とは、この活性酸素による「酸化」を防ぐ作用です。メラトニンは、抗酸化物質の中でも最も強力な物質です。

電気をつけたまま眠ってしまった朝は、肌が荒れて体もだるくなります。夜の照明によって、メラトニンが減ってしまい「酸化」が促進されてしまったのです。

夜のメラトニンがたっぷり増えることは、昼間に受けた体の中のダメージを回復し「スッキリ」目覚めることにつながります。

生活が不規則になってしまう方は、起床したら強い光を見て、眠る前にはできるだけ暗くするというように、ご自分で朝と夜をつくれば、余計な疲れが出てしまうことを防げます。

 

質のいい睡眠のための「成長ホルモン」

眠り始めを充実させる成長ホルモンは、睡眠が深いほど分泌量が増えます。私たちの日常生活の中で、成長ホルモン分泌を促す刺激には次のようなものがあります。

  • 運動
  • 低血糖
  • 絶食
  • 心理的ストレス
  • 睡眠

睡眠以外は、脳や体に何らかの負荷がかかった状態ですね。適度な負荷がかかったときに、生きる力が増幅するというのは、植物の成長などをイメージされると理解しやすいのではないでしょうか。

さて、成長ホルモンの分泌を時系列で追ってみていきますと、一定のリズムがあることが見えてきます。

成人男性が1日目の23時から2日目の7時まではいつも通り眠り、その後3 日目の1時まで28時間眠らずに過ごした後、1時から19時まで眠ったときの、成長ホルモン分泌量はどのように変化するでしょうか?

成長ホルモンは、眠り始めの3 時間にピークがみられ、そのピークは眠る時間に合わせて変わるということが知られています。

つまり、先ほどの成長ホルモン分泌を促す刺激の中では、睡眠が最も強力な因子であり、その睡眠の中でも眠り始めの3時間が最も重要ということです。

眠り始めの3時間とは言っても、3時間ずっと同じように分泌されているわけではありません。ヒトの眠りは、80分台〜100分台の約90分サイクルを持っていて、約90分ごとに睡眠が浅くなります。成長ホルモンは、睡眠が浅くなると分泌が減り、再び深くなると増えるという性質があります。

つまり、深い睡眠をトつかりつくれは、成長ホルモンは増えるということです。そして、睡眠が深くなるということは、内臓の温度である深部体温が下がるということです。

深部体温リズムにより、深部体温が最高になる起床から1時間後をより高めることで、眠り始めの体温を急激に下げ、成長ホルモンの分泌を促進させることができます。これで「ぐっすり」がつくられます。

美容や健康に関心が高い方は、「成長ホルモン」という言葉をよく耳にされていると思います。最も有名な作用は成長促進作用ですが、タンパク質や炭水化物、脂肪の代謝作用もあります。成長ホルモンが不足している成人に投与すると、体脂肪が減少し、これによって代謝率が高まり血祭コレステロールが低くなるという作用が認められます。

実は、不眠治療を実践している専門家は、睡眠が整ってくると患者さんがやせることをよく経験します。睡眠のリズムが乱れていると、眠り始めが深くなりません。成長ホルモンの分泌量が減れば、炭水化物や脂肪の代謝が減ります。

すると体には、「代謝が低下したなら、おそらく翌日の食事摂取は少ないだろう。食事にありつけなかったときのために、中性脂肪としてエネルギーを蓄えておこう」という反応が起こり、結果的に体重が増えてしまいます。不眠治療はこの悪循環を変えていたということです。

https://sleep-guide.net/important/archives/178