質のいい睡眠のための「成長ホルモン」

眠り始めを充実させる成長ホルモンは、睡眠が深いほど分泌量が増えます。私たちの日常生活の中で、成長ホルモン分泌を促す刺激には次のようなものがあります。

  • 運動
  • 低血糖
  • 絶食
  • 心理的ストレス
  • 睡眠

睡眠以外は、脳や体に何らかの負荷がかかった状態ですね。適度な負荷がかかったときに、生きる力が増幅するというのは、植物の成長などをイメージされると理解しやすいのではないでしょうか。

さて、成長ホルモンの分泌を時系列で追ってみていきますと、一定のリズムがあることが見えてきます。

成人男性が1日目の23時から2日目の7時まではいつも通り眠り、その後3 日目の1時まで28時間眠らずに過ごした後、1時から19時まで眠ったときの、成長ホルモン分泌量はどのように変化するでしょうか?

成長ホルモンは、眠り始めの3 時間にピークがみられ、そのピークは眠る時間に合わせて変わるということが知られています。

つまり、先ほどの成長ホルモン分泌を促す刺激の中では、睡眠が最も強力な因子であり、その睡眠の中でも眠り始めの3時間が最も重要ということです。

眠り始めの3時間とは言っても、3時間ずっと同じように分泌されているわけではありません。ヒトの眠りは、80分台〜100分台の約90分サイクルを持っていて、約90分ごとに睡眠が浅くなります。成長ホルモンは、睡眠が浅くなると分泌が減り、再び深くなると増えるという性質があります。

つまり、深い睡眠をトつかりつくれは、成長ホルモンは増えるということです。そして、睡眠が深くなるということは、内臓の温度である深部体温が下がるということです。

深部体温リズムにより、深部体温が最高になる起床から1時間後をより高めることで、眠り始めの体温を急激に下げ、成長ホルモンの分泌を促進させることができます。これで「ぐっすり」がつくられます。

美容や健康に関心が高い方は、「成長ホルモン」という言葉をよく耳にされていると思います。最も有名な作用は成長促進作用ですが、タンパク質や炭水化物、脂肪の代謝作用もあります。成長ホルモンが不足している成人に投与すると、体脂肪が減少し、これによって代謝率が高まり血祭コレステロールが低くなるという作用が認められます。

実は、不眠治療を実践している専門家は、睡眠が整ってくると患者さんがやせることをよく経験します。睡眠のリズムが乱れていると、眠り始めが深くなりません。成長ホルモンの分泌量が減れば、炭水化物や脂肪の代謝が減ります。

すると体には、「代謝が低下したなら、おそらく翌日の食事摂取は少ないだろう。食事にありつけなかったときのために、中性脂肪としてエネルギーを蓄えておこう」という反応が起こり、結果的に体重が増えてしまいます。不眠治療はこの悪循環を変えていたということです。

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