安眠のための寝室づくり

寝室をゆったり使うエ夫

ゆったりして落ち着く空間でこそ、ゆったりした睡眠が得られるものです。専門家の研究によれば、睡眠中に必要な酸素の量などから計算すると、最低でも大人1人に3畳分くらいの広さが必要です。ということは、夫婦の寝室なら6畳ほどのスペースがあればいいことになります。しかし、もし6畳の部屋だとしても、家具を置いたりすれば床面積は狭くなってしまいますから、夫婦で使う寝室は、せめて8畳は欲しいところです。
できるだけ荷物を少なく、家具も背の低いものを選ぶなどの工夫で、室内の圧迫感を減らすことはできます。

広すぎてもダメ

ゆったりとした寝室をすすめたばかりですが、あまりに広い寝室は快適さとは縁遠いものになってしまいます。
適度のゆったり感が必要とはいえ、必要以上に広いと冷暖房の費用がかさむだけではありません。
横たえた体の周囲に広がる空間が、精神を落ち着かなくさせ、寝つきが悪くなることがあるためです。
せめて頭のほうをつい立てのようなもので囲うとか、ベッドを置く位置を変えて、間仕切りがわりに使える家具を置くなどの工夫をするといいでしょう。

夫婦間の寝室は子供部屋の隣にしない

どんなに狭い自宅でも子供の成長や自立のことを考えると、独立した子供部屋をもたせる家庭が増えるでしょう。そうした陰で、ないがしろにされがちなのが夫婦の寝室です。
夫婦2人きりで過ごす大切な空間を確保するのは当然として子供部屋と隣り合わせというのはNGです。
子供が幼いうちはよくても、成長して深夜までゲームで遊んだり音楽を聴いたりするようになると、騒音問題も起こります。寝室はできれば離れた位置にあるほうがよいですが、マンションなどでやむをえないときでも壁一枚を隔ててというのは避けたいものです。境の壁ぎわに家具を並べるなど、すこしでも防音対策の工夫をするといいでしょう。

寝室に合った色を選ぶ

色が人の心に及ぼす影響は、想像以上に大きいものです。無意識の中で大きなウェイトを占めています。神経を緊張させ興奮させたり、反対に落ち着かせる鎮静効果のあることが確認されています。
しかも1色だけでなく2色、3色と組み合わせること、その色の分量・配合でも効果は異なります。
寝室にふさわしい快眠を得られる色は、鎮静効果が高いとされる穏やかな緑、アイレストグリーンです。このほかに茶系や紺系統で、明度は低く、彩度もあまり高くないものが最適です。壁紙にマホガニー調のものを選ぶなど、寝具や寝間着だけでない色の工夫をしてみましょう。
カーテンをはじめ、寝るまでにべッドサイドで目に触れるものが、いかにリラックスできる色かということが大事なポイントになります。

安眠のための下着選び

パンツのゴムがきついのは×

睡眠に必要なリラックスは、精神面ばかりのことではありません。身体も、日中の締めつける衣服から解放して、ゆったりさせてやらねばならないのですが、そのために着心地のいい寝間着を選ぶだけでは、100%と言えません。下着のパンツのゴムが腰回りを締めつけていることも、体にとっては大きなストレスになっているのです。パンツを脱いで寝てみると、意外に熟睡できることがわかります。
また、パンツのゴムだけでなく補整下着のように、体のラインを整えるものを、すこしでも長く身につけていれば、よりスタイルがよくなりそう? と寝るときもつけたまま、なんていうのは論外です。肉体の解放が心の解放にもつながって、安眠のきっかけになるのですから、ごくふつうのブラジャーやガードルも、もちろんはずして寝たほうがいいでしょう。

靴下もNG

冷え性の女性などでよくみられるのが、ソックスをはいたまま眠る人です。たしかに足先が冷たいと、眠りにつきにくいのもわかります。末梢血管の血流がよくないからですが、眠ってしまえば副交感神経の働きで血管が広がってこれは解消されます。
ソックスをはいて眠ると、睡眠中の体温調節が問題となってしまいます。ソックスをはいたままでは、足の裏の発汗作用が高まり、熱をもってくるようになります。ソックスによって、熱の逃げ場所がなく、体温調節ができなくなって体に汗をかき、かえって疲労感を高めたりするのでソックスは脱ぎましょう。かわりに、足の太い血管だけを温めてくれるレッグウォーマーがおすすめです。

靴下がないと眠れないという人は?

「頭寒足熱」は安眠のための基本中の基本です。冬場に冷えて眠れないからと、とくに女性の中には靴下をはいたまま寝る人が多いのですが、これは避けたほうがよいことは、すでに書いたとおりです。しかし、どうしてもソックスをはいて寝たいというなら、五本指ソックスをはいて寝るのがおすすめです。もともとはフットケア用のソックスですが、適度に汗を吸い取ってくれるので気持ちがいいのです。綿素材ならさらに肌触りもよく、吸湿性もアップします。

子供の腹巻きはNG

子供の寝冷えが心配だからと、夏でも腹巻をさせて子供を寝かせている人もいます。しかし、子供は汗をかきやすいのに、腹巻きでしめつけると通気性は悪くなり、汗を発散させることができなくなります。そのために、かえって体のほかの部分が冷えてしまったり、暑くて布団を蹴飛ばしてしまうこともあります。子供は寝間着さえちゃんと着ていれば、腹巻きはしないほうがいいでしょう。

パジャマの注意点

ジャージはダメ!

ジャージは、家の中でごろごろしている普段着にもよく、ちょっと近所までタバコを買いにいくのにも恥ずかしくないウェアとして、とても便利です。寝間着にしている人も多いことでしょう。ただ、ジャージはあくまでスポーツウェアであって、運動に耐える丈夫さが取り柄です。そのため厚地でつくられているので、寝間着には適しません。
運動するときラクなことと、寝具の中でラクに動けることとは、むしろ相反するものです。

寝間着はまめな洗濯が大切

着心地がいい寝間着の条件は、運動性と吸湿性です。この2つの条件を満たしていても、1週間も同じ寝間着で寝ていたのでは、いい眠りは得られません。汗を吸って汚れた寝間着では、健康面にもよくないので、かならずこまめに洗濯をしたいところです。とくに、汗の多い夏場は、洗濯が面倒でも毎日着替えるのがよいでしょう。

寝間着のサイズも大切

人間は寝ているあいだも寝返りを打つなどで、相当の運動量になります。そのとき、動きを束縛するような寝間着では、いいものとはいえません。
袖ぐりなどがゆったりした、体の動きをさまたげないものがよいでしょう。しかし大きすぎたり長すぎたりで、裾がめくれて体にまとわりつくようなものでは困ってしまいます。
立体裁断などで、人間の体のまるみを考慮したものを選びましょう。

材質も大事

寝間着選びでは、動きのラクなゆったりしたものを優先して選びますが、そのとき、もう1つ忘れてはいけないことがあります。
それは材質です。一晩にかく汗をちゃんと吸収してくれるものとなると、やはりコットン(綿)がいちばん。肌触りが柔らかく着心地のよいものを選びましょう。

赤ちゃんの寝間着は?

赤ちゃんは、大人ほど体温調節を容易に行えません。そこで、寒さ・暑さにきちんと対応するために、すぐに何かを羽織らせたり、脱がせたりと、親が気をつかってやらなければなりません。
それは、就寝中も同じです。ふだん1人で寝かせているときに着せる寝間着で、そのまま親といっしょに寝てはいけません。親の体温で布団の中は温まり、ふだんより暑くなって、赤ちゃんの体温が上がってしまうためです。
それを考慮して、赤ちゃんといっしょに寝るときは、ふだんより薄着にさせましょう。