朝の時間は使い方次第で有効な時間に

朝の60分は、夜の数時間分にも匹敵する

忙しい人ほど朝早く起きているという話をよく耳にします。1日のスケジュールびっしりで、夜は夜でパーティーや夕食会などに参加しなければならない人にとっては、朝がいちばんスケジュールをとりやすいのでしょう。

散歩をしたり、ジョギングで汗を流したり、仕事とはあまり関係のない本を読んだりなど、仕事に行く前の朝の時間というのは、やり方しだいで有効に使えるものです。それだけではありません。仕事のあとでは、ぼんやりしてしまって頭がしっかり機能しないことも多いかもしれませんが、朝ならば疲れがとれているのですから、脳も元気で集中力があります。
体も同様に、仕事のあとはくたくたですが、朝にはまた元気を取り戻しています。そのうえ、夜ともなれば飲みに行こうとか、ビデオやDVDを観ようなど、多くの誘惑が生まれます。

しかし、朝にはそういったものがありませんから、自分だけの時間を有効に使うことができるのです。とりあえず、1日でもいいですから、いつもより1時間早く起きてみてください。そして、散歩をするなり、本を読むなり、ゆっくり朝食をとって新聞を読むなりしてみてください。その時間の長さに驚くはずです。同じ時間なのに、朝の1時間は夜の何時間分にも感じることでしょう。

毎朝1時間が積み重なると大きな成果に

毎日早朝に行なわれる英会話のクラスに通い、2年間で十分に会話ができるようになった青年がいます。海外旅行が好きで、連休のたびに貯金をはたいてはさまざまな国に出かけたそうです。
そして旅行から戻るたびに、もっと英語ができたら行動範囲も出会う人もずっと広がるのに…と悔しい思いをしたといいます。何度目かの旅行の帰路、ついに彼は行動に移そうと決心しました。会社の近くに英会話のスクールがあり、初めは夜のクラスをとったそうです。

始まりは午後の6時半ですから、会社が終わってからでも十分間に合うのですが、残業が入ったり、上司に酒場に誘われたりして、なかなか続けられなかったといいます。仕事が忙しくなれば息抜きも欲しくなり、今日はまあいいかと、同僚と飲みに行ってしまう日もあったそうです。結局、休みがちになってしまい、授業も飛ばしてばかりでは身が入らず、思い切って朝のクラスに変更したのです。

最初のうちはつらかったものの、これまでのように休んで月謝をむだにしたくないという気持ちも強く、ときには這うようにして通ったそうです。

彼によると、起きるときはふらふらでも、クラスへ行けば、楽しくて目が覚めるのだそうです。15五人近くのクラスなのですが、一方的な授業ではないので緊張もするし、学生を中心にさまざまな職種の人たちなど、面白い顔ぶれが集まっているので、雑談をしても刺激になるというのです。そのうち、それが日課になり、毎日通って英語も上達するから行くのがますます楽しくなり、2年間続いてしまったといいます。毎晩仕事が終わってから、自分だけの自由時間を1時間とろうと思っても難しいものです。

しかし、朝なら決心しだいで十分可能になります。水泳でも、少しずつ絵を措くことでも、通信教育で資格を取ることでもかまいません。
何をするにしても、朝の一時間が積もれば大きな時間になるはずです。起きるのがつらくても、目標があれば励みにもなります。そのうえ、今まで気づかなかった何かを自分の中に発見したり、上達するという喜びを実感すると、ますます楽しくなるに違いありません。

これまでふとんの中にいた1時間も、積もれば自分の財産になるのですから、朝の時間は見過ごせません。

15分早く起床すれば1日に余裕がでてくる

早起きにはもう1つの利点があります。昼間中心の社会のしくみの中で、人より少し早くスタートが切れるということです。そして何よりもいいのは、何をするにも余裕が生まれるということでしょう。

いつもぎりぎりの時間に会社に着いていた人は、余裕を持って出社し、15前に席についてみてください。その日のスケジュールを反芻するもよし、コーヒーを飲みながら午後の会議の書類に日を通すもよし、上司と世間話をするのでもかまいません。追い詰められた気分で出社時問にすべり込む状態に比べれば、精神的にも余裕があり、体全体にエネルギーがみなぎるはずです。

人は心に余裕があれば、それが自信につながり、歩き方からしやべり方まで変わってきます。たとえば、会議で何かを提案するときも、下調べがきちんとしてあったり、確信しているときにはひと言ひと言が自信に満ちています。

反面、少し不安だったり、勉強不足だったりするとおどおどした態度になり、生彩を欠いてしまい、訴える力もなくなってしまいます。
いくら朝がつらいといっても、たった15分早く起きるだけでいいのです。それだけでも、その先の1日がまったく違うものになります
。ちょっとの努力を1週間続けてみてください。余裕が生まれれば、周りのいろいろなものが目に入り、世界が広がったような気になるものです。ひょっとしたら、世界がこれまでとは遣って見えるかもしれません。

目覚めてもすぐに体は動かない

「朝に弱い」人は、ぎりぎりの時間まで寝ていますが、起きたとなったら、びっくりするほどの猛スピードで身じたくをし、家を出るという特技を持っています。
それはそれで立派なことですが、残念ながら、身じたくはできても、体の中はそんなにすぐには動けないのです。

まず、胃腸です。起きて牛乳などを飲み、朝食を食べ終わったころ、やっとウンチがしたくなります。しかし、起きてすぐに家を飛び出したのでは、胃腸が活発に動き出すのは会社に着くころです。出かける前に牛乳を飲んだのはいいけれど、電車の中でトイレに行きたくなり、冷や汗をかいたという詰もあります。

睡眠と腸の働き | 眠りの悩みを解消しよう!によると夕食を早く済ませ空腹で眠るのがベストだそうです。また、夜遅い時間に食べている人の腸は汚れがちだそうですので、こういったことも朝、起きられない要因になるかもしれません。

脳や体の各器官にしても、起きてすぐに活発に動き出すわけではありません。シャワーを浴びたり、朝食を食べたりという刺激によって、少しずつ動き始めるのです。できれば、出かける1時間前には起きたいものです。この1時間で、体は万全の準備を整えることができるのです。

朝、起きて、夜、眠る仕組みになっている

朝起きて夜眠ることで、体内時計は1日のリズムを刻む

忙しいとき、1日がもう少し長かったらなぁと思うのはみんな一緒です。残業のあとで映画にも行けるし、朝もゆっくり眠れるはずです。
悲しいかな、わたしたちは1一日24時間という単位の中で生きる以外の選択肢はありません。

では、その24時間の中で、人はなぜ朝になると目覚め、昼間は活動し、夜になると眠くなるのでしょう。それは、体の中にリズムを刻む時計が備わり、指示を与えているからです。
これが、いわゆる「体内時計」です。体内時計は、朝と夜のセットで1日という認識をしています。そして、光によってそれを感知しています。明るいところにいれば、ここは昼だなと思い、暗いところで眠ると、ここは夜だなと思うわけです。

このセットによって、1日が経過したと判断します。体内時計の周期は24時間ではなく25時間です。したがって、光がまったく入らず、温度もー定のほら穴で時間を知らずに生活すると、1日1時間ずつ時間がずれてしまいます。

つまり、12日後に真夜中の12時と正午が逆転し、24日後に元に戻るのです。もし、体内時計のままに1日を送れば、日付や時間の単位がずれてしまい、混乱を招くでしょう。そこで、わたしたちは社会の時間の動きに合わせて、毎朝体内時計を一時間ずつ早めるようにしているのです。とはいえ、毎朝体内時計に変化が起こっているわけではありません。いつもの時間に目覚まし時計が鳴り、目をこすりながら起きることで、1時間の調整を行なっているということです。

この一時間の修正に、光は欠かせない要素です。太古の昔から、体は陽が昇れば夜が終わったと認識してきたのですから、雨戸やカーテンを開けて朝の光を感じることで、目覚まし時計で叩き起こされた体が目覚めていくわけです。

朝起きられないのは、体の中の自然破壊

人は昔から、この体内時計のリズムに合わせて生活をしてきました。体内時計のリズムは、もともとは「日の出」と「日の入り」という太陽の周期に関係していたのだろうといわれています。昼間の明るいうちに活動し、夜の暗闇は静かに身を潜め、獣などの攻撃から逃れようとした太古の生活のリズムが、長年のあいだにすっかり体に備わったのでしょう。

ところが、いつからか夜眠れないとか、朝起きられないという人たちが出現しました。これは、体の中の自然破壊ともいえるでしょう。本来の体内時計からいえば、陽が昇ると同時に目覚め、陽が沈むと同時に眠りにつくのが本当です。しかし、今は朝起きるといっても、陽が昇ってからずいぶん時間が過ぎています。

人は、時代が進むとともに、社会のしくみに応じて体内時計を四〜五時間ずらしてきたわけです。現在、環境問題は地球にとって重要なテーマになっています。森林の伐採が地球にどういう影響を及ぼすのかが、すぐにはわからなかったからこそ、今たいへんな問題になっているのではないでしょうか。

「体の中の自然」も同じです。夜中まで起きている日があれば、昼過ぎまで眠っている日もあるという、体内時計に反した生活をしていても、すぐに体に影響が出るわけではありません。しかし、徐々に破壊され、気がついたときには眠気を感じとるセンサーも、朝日覚めるセンサーもおかしくなって、いつ眠っていつ起きればいいのかが、体自身ですらわからなくなってしまうこともありうるのです。

眠りのリズムは体のリズムと連動している

体内時計は、睡眠と覚醒のためだけに作動しているのではありません。トイレに行きたくなったり、お腹が空いたり、血圧や体温が上がったり下がったりすることを含む、すべての生体のリズムを刻んでいるのです。これを「サーカディアンリズム」といいます。
このサーカディアンリズムは、体の各器官で個々になりたっているわけではなく、すべての器官がバランスをとって、まわるようになっています。したがって、どれか1つに狂いが生じると、すべてがおかしくなってしまうのです。

なかでも、体温は眠りと深く関係しています。たとえば、「熱がある」というのは、平熱よりも熱があるということです。つまり、それぞれに自分の平均体温があるわけですが、この平熱も一1日中一定なのではなく、睡眠と覚醒のリズムと連動して、上がったり下がったりしているのです。

通常、体温は明け方5~7時くらいに最も低くなり、起きてから徐々に上がります。そして夜の九時〜十一時くらいになるとピークに達し、下がり始めたころ眠くなります。眠っているあいだに下がり続けて、明け方最低になり、起きると再び上がるというリズムで、毎日動いています。もちろん、朝型、夜型というように、人によって多少のずれはありますが、だいたいこのようなリズムを刻んでいます。逆にいえば、体温が低いときは眠いし、高いときは目覚めるという体の状態になっているのです。そのため、夜のほうが朝より快適に眠りやすいし、朝のほうが目覚めやすいのです。にもかかわらず、深夜になって体温が下がっているのに、夜更かしをして明け方になつてから眠るような生活パターンでは、朝になって体温が上がっていてもなかなか目覚めることができません。
また、昼ごろまで寝ていた日は、体温が下がったからといって、いつもと同じ時間に寝つけるはずもないでしょう。

朝起きて夜眠ることで、体全体のバランスは保たれている

結局、睡眠と覚醒というリズムがおかしくなることで、体温、食欲、排壮、血圧、各種の神経系統などのすべてのリズムを崩してしまうことにもなりかねません。仕事がら、朝起きて夜眠るわけにはいかない人たちもいます。

たとえば、夜にお店をやっている人、月の半分くらいは海外出張に行く人、飛行機の国際線に乗務する人、夜勤の警備員や看護師さん、コンビニエンスストアの店員などです。現代は多くの人が、畳も夜もない生活をしています。

夜なら夜だけという仕事ならまだいいのですが、国際線のパイロットや客室乗務員などは、常にいろいろな国の時間で生活しなければなりませんから、毎日不規則な生活を強いられているようなものです。これでは、しだいに体も混乱し、さまざまなリズムが狂ってしまうでしょう。そのための対応策として、外国にいるときでも日本時間に合わせて寝起きをしているそうです。
そうしなければ、日本に帰ってきたときに調子が悪くなるといいます。看護師さんも日勤と夜勤が入りまじっていますから、体のリズムを壊しやすい仕事です。
看護師さんの中には、仮眠などで調整をし、昼と夜のリズムを壊さないようにしている人も多いようです。

血圧、ホルモン、体温などは自分で調整するのはとても難しいものです。けれども、いつ眠っていつ起きるかなら、自分でもコントロールできます。ですから、生体のリズムをスムーズに回転させるには、睡眠と覚醒をしっかりおさえればいいともいうことができます。
つまり、朝起きて夜眠るという生体の自然のリズムは、完堅なまでに体のバランスを保っているというわけです。

夜眠らないと睡眠時聞が少なくなるだけ

社会の時間帯は昼間が中心ですから、銀行に行く、郵便局に行くなど、日中のうちにすませなければならないことは数多くあります。

長年夜の仕事がメインになるスナックのママをやっている人がいます。お店が終わるのが夜中の3時、そのあと片付けをしていると、寝るのが毎朝5時とか6時になるそうです。それでも、毎日朝の十10時時くらいには起きるというので、「睡眠が足りないでしょう」と尋ねると、昼間のお付き合いがあるので、眠っているわけにはいかないといいます。

社会とずれた時間帯ではあるけれど、自分にとっては規則正しい生活をしようと思っても、先方の都合で昼間寝ていられないということもあるはずです。

ですから、夜寝ておかないと、結局、睡眠時間が少なくなってしまいます。また、今の社会の時間帯の中では、夜眠ったほうが規則正しい睡眠がとりやすいともいえます。毎日規則正しく、朝寝て夕方起きている人でも、休日にはデートをしたり、家族と出かけることもあるでしょう。

もし、デートの相手が日中に会社に勤めている人なら、遊園地やピクニックに行こうと思えば、待ち合わせは午前の10時ごろになるはずです。普段ならぐっすり眠っている時間帯ですから、体は時差ボケの状態で、今が昼なのか夜なのか混乱してしまうでしょう。
規則正しい生活ならば、いつ寝ていつ起きてもいいような気がするかもしれませんが、昼間中心の社会では、そのリズムで365日を送ろうとしても、思うようにはできません。
ことに、夜起きている人には、昼間も何かと起きていなければならない場合も多く、不規則で、睡眠時間も少なくなりがちです。ですから、日本で生活している以上、朝は起きて夜は寝たほうが、寝やすいし起きやすいということになります。

理想的な睡眠

適切な睡眠時間

睡眠時間は個人、個人それぞれ異なります。毎日5時間ぐらいの睡眠でも平気だという人もいれば、8時間以上は眠らないと頭がちゃんと機能しない人もいます。

これは、それぞれの睡眠のリズムに個人差があるからです。一般的には、レム睡眠のときに目覚めたほうが、ノンレム睡眠の深い眠りから目覚めるよりはすっきりするといいます。

長時間、眠ったばずなのに、起きてみるとぼーっとして目覚めが悪いというのは、深い眠りの状麿のときに起こされたからです。そのような人には、レム睡眠のときに目覚める産眠時間が合っているということにもなります。

眠りの周期は、ノンレム睡眠とレム睡眠がセットとをり、約90分を単位として何度も訪れます。しかし、これは「平均」でこのくらいという数字ですから、当然、多少の誤差が出るでしょう。

睡眠時間は何時間とこだわり過ぎるは意味がありません。むしろ、自分にはどのくらいの睡眠が必要なのかを検討してみるほうが大切です。

「朝に弱い」人は、長い睡眠時間をとらないと疲れがとれないというタイプがほとんどです。かといって、「朝に弱い」から人より長く睡眠時間が必要かといえば、そうともいえません。

怠惰心や無気力が、目覚めを悪くしていることも十分に考えられます。寝過ぎは、かえって体調を悪くする場合もあるのです。また、熟睡できたかどうかも問題です。明け方からお昼過ぎまで、10時間近く眠ったとしても、朝になれば鳥も鳴き出し、道路を走る車の青も聞こえてきます
。騒音の中では深い眠りが得られないから…と、長く眠っても疲れた状態は解消されないでしょう。これらの点を踏まえると、適度な睡眠時間は7時間程度といえます。

「朝に弱い」人なら、それにプラス1時間。「朝に弱い」人の多くは、長時間眠らないとダメだといいながら、前の晩に夜更かしをして、睡眠時間が足りなくなるというパターンに陥りがちです。時間にこだわる必要はありませんが、気持ちよく目覚るためのいちばんよい方法は、「夜きちんと眠る」ことですから、いきなり短時間睡眠で起きようとしても無理が生じます。

眠り方しだいで4時間睡眠でも平気だという人もいます。忙しくて、どうしても睡眠時間を削らなければならないときなどは、一時的な緊張感のために4時間睡眠でも大丈夫でしょう。もっとも、まれには4時間でちょうどいいという人もいるかもしれません。しかし、毎日のことですから、睡眠はやはり7時間程度はとったほうが望ましいといえます。

二度寝は、逆にだるくなる

朝、ぎりぎりの時間に家を出ることになるのは、目覚まし時計をぎりぎりにセットしているからと考えがちです。しかし、実際は、家を出る1時間前にセットして、一度はその強烈な音に起こされるのだけれども、あと5分だけ…が、10分、15分、30分になり、結局あわてて飛び起きるというパターンが多いのではないでしょうか。
二度寝をすると、そのぶん疲れがとれるのかといえば、そうでもないのです。

眠りというのは、ノンレム睡眠がだんだん深くなり、次にレム睡眠が現れるといぅ繰り返しを90分周期で繰り返しています。ですから、一度起きると、この周期は、再度90分を1セットとして最初から繰り返されるのです。

たとえば、ノンレム睡眠の深い眠りのときに目覚まし時計で叩き起こされたとします。突然深い眠りを断ち切られたのですから、意識も膜臆としています。ですが、もう少しだけ… … と二度寝をしても、元の深いノンレム睡眠に戻るわけではありません。また最初の浅い眠りから始まるのです。つまり、あと五5分、10分…という二度寝は、いたずらに浅い眠りをプラスしているだけで、すっきりと目覚めることはできません。いずれにせよ、目覚めが悪いのですから、目覚まし時計が鳴ったときに起きたほうが余裕も生まれ、よい1日のスタートが切れるのです。
時間だけでなく「眠りの質」も
「睡眠時間は7時間程度」は必要だといいましたが、時間だけでなく「眠りの質」も重要なポイントです。通常の睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠1セットが約90分周期で繰り返されます。

ですが、何かの影響でノンレム睡眠のときに深い眠りに移行できなかったり、レム睡眠の際に目が覚めたりすると、通常の周期で睡眠することができなくなり、眠りの質が悪くなります。その原因として、まず考えられるのは眠る環境です。浅い眠りの段階では音や光に反応しますから、うるさいところで眠れば目が覚めたり、深い眠りに移行しをいケースがあります。ですから、昼間より夜のほうが、眠りの環境としてはずっといいわけです。

また、暑過ぎたり寒過ぎたりしても同様です。ふとんが重い、枕が固いなど、寝具もこの環境に影響します。では、環境が整っている場合は、どうすれば熟睡できるのでしょうか。

一般的には、眠る前に起きている時間が長いほど深いノンレム睡眠の量が増えて、ぐっすり眠れるといわれています。たとえば、1日8時間は睡眠が必要だという人が、たまたま一晩徹夜をしなければならなかったとします。通常の倍の時間起きていたのですから、当然眠りは深くなります。起きて活動している時間の山が高ければ、眠りの谷も深くなるということです。もっとも、あまり山が高過ぎると、谷がないまま1日が終わり、翌日にやっと谷がくるという不規則な状態になってしまいます。これでは、熟睡する時間がなくなってしまいますから、やはり質の高い睡眠とはいえません。

つまり、朝早く起きれば、夜もぐっすり熟睡できるということです。昼寝をしたり、夜うたた寝をしてしまうと寝つきが悪いというのは、起きている時間が短くなるからです。

眠りとは?

睡眠にもさまざまな種類がある

心地よく眠れない人が増えたり、眠りに村する障害が話題になるようになったのは、ここ数十年です。それまでは、眠りとは何なのか、人はなぜ眠るのだろうかなどとは、あまり考えることもありませんでした。
したがって、睡眠に関する研究も遅れていましたから、現在、いざ眠りとは何かと考えてみると、そのメカニズムはまだまだ解明されていない部分が多いのです。

それほど複雑で、謎が多いといえます。ですが、簡単にいえば、睡眠と覚醒をコントロールしているのは脳だということができます。しかも、睡眠時と覚醒時に働く脳はそれぞれ違うのです。起きているときは、脳はさまざまな刺激に反応するような態勢になつています。したがって、わたしたちは意識もあるし、体も緊張しています。反対に、眠っているときは、そのときのことを何も覚えていないことからもわかるように、無意識で体しかんもだらりと弛緩しています。

しかし、もし眠っているときに、脳がいっさいの刺激に反応しなくなったとしたら、わたしたちは死んでしまいます。睡眠のあいだにも起きて働いてくれる部分があるから、生命が維持できるのです。また、わたしたちは眠気を感じて眠りにつきますが、その眠気の信号を送っているのも脳の、ある部分です。睡眠と覚醒とは、脳によってコントロールされているのですから、脳波を測定することで、眠りの一端を知ることができるわけです。

当然、眠っているときと起きているときの脳波は違います。そして眠っているときでも、脳波は一定の動きではなく変化しているのです。このことは、睡眠にもいろいろな種類があることを示しています。

レム睡眠とノンレム睡眠

自分が眠っているあいだのことを、だれも自覚することはできません。いつから眠りに入ったのかを明確に規定するのも困難であり、意識はあるような気がするけれども体が思うように動かないといった金縛り状態のときは、自分が目覚めていたのか眠っていたのかも、はっきりとはわからない感じもします。

それは、眠るということが、覚醒からパタツと睡眠に入り、またぱたっと起きるという単純なことではないからでしょう。

ひと口に睡眠といっても、大きく分けると、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類の眠りがあります。「レム」とは「急速な眼球の運動」という意味です。
眠っているのに目玉がきょろきょろと動き、脳波も目覚めているかのような波型に変化する時間帯があります。そして、この状態の眠りをレム睡眠、そうではない場合をノンレム睡眠といいます。

わたしたちが眠りにつくとき、まずノンレム睡眠が訪れます。ノンレム睡眠は、脳波が大きくゆっくり振動している状態で、眠りの深さによって4段階に分かれます。第一段階ではまだ浅く、それがだんだんと深くなって第4四段階まで移行するのですが、その変化のようすは、脳波の動きを見ればわかります。
起きていて脳が活発に活動しているときは、ベータ波という波が出ています。そして、瞑想状態のように目を閉じてリラックスし、落ち着いた状態のときは、アルファー波が出ます。だんだん眠りを感じてくるとシータ波が出るようになり、眠りに入ると紡錘波といわれる波が出ます。
さらに、深い睡眠に入ると、デルタ波がたくさん出ます。

1セット90分の睡眠周期が繰り返される

眠りについてから深くなるまで、脳波は次のように変化していきます。第一段階は、横になって静かに日を閉じ、うとうとしてきたころです。
呼吸や心拍などは多少遅くなりますが、規則正しく繰り返され、目を覚ましても眠っていたのかさえはっきりとはわからないくらいの「寝入りばな」です。

深夜にビデオやDVDなどを観ていて、一瞬うとうとしてしまったというのもこの段階です。ここで眠ってしまえば、徐々に深い眠りに入っていきます。
ところが、ビデオやDVDを最後まで観たいがために、一旦停止にして冷たい飲み物などを飲み、また観始めると、今度はビデオやD VDが終わっても目がさえて眠れなくなるのです。

そのようなことがなければ、通常は第一段階のあと、すぐ第二段階に移行します。ただし、この第二段階も眠りはまだ浅いので、物音などで脳波は反応し、声をかけられれば起きてしまいます。第三、第四段階に入ると、名前を呼ばれても、物音がしても、簡単には目を覚まさず、無理やり起こされても、一瞬何が起こったのかわからないくらいの深い眠りになります。

この段階で子供を起こすと、泣き出したり、夢遊病者のようにふらふらと歩きますが、あとになっても覚えていないくらいです。これがノンレム睡眠の変化です。このあとにレム睡眠が現れ、眼球は急速に動き、脳波は速く、目が覚めているような状態を示します。にもかかわらず、体は弛緩し、金縛りのときのように思うようには動きません。
脈拍数は多くなり、呼吸は浅く不規則になります。人間の眠りには、ノンレム睡眠がだんだんと深くなり、そのあとレム睡眠が訪れるという1セットが、約90分を単位として、一晩に何度も周期的に訪れます。
たとえば、一晩に8時間眠ったとすると、この90分1セットの睡眠周期が5回線り返されていることになります。

人が眠らないと生きていけないのは?

食欲、性欲、睡眠欲は、欠くことのできない三大欲求だなどとよくいいます。なかでも、眠らせないことが拷問にまでなるくらいですから、人間の睡眠欲は非常に大きいものです。

ですが、わたしたちは、なぜ眠らなければ生きていけないのでしょう。残念ながら、この疑問はいまだに研究中であり、明確に説明することはできません。
ただ、現在考えられることは、眠ることは、単に体を休息させるというよりも、大脳を休ませる役割が大きいということです。体を休息させるだけなら、横になるだけでもいいはずです。それなのに、一日中体を動かさなくても眠くなるのですから、休むのは脳だと考えてもいいのかもしれません。
休むといっても、すべての脳が活動を停止するというわけではありません。それでは生命が維持できませんから、意識がないだけで、眠っているときでも、脳の、ある部分は働いているわけです。

当然ですが、わたしたちは眠ると疲れがとれ、元気になります。眠っているあいだに疲労を回復し、さらに体内でエネルギーを蓄えているのです。

「軽い風邪ならあたたかくして寝ていれば治る」というのも、安静にしていればエネルギーを消費しないばかりか、快適な睡眠のあいだに、・本来人間が持っている免疫力が強化されているからです。
ちなみに風邪を自分の免疫力で尚したい場合は、睡眠以外に体を温めることも重要です。
また、人間の発育を促す成長ホルモンも眠っているあいだに分泌されます。「寝る子は育つ」というのは本当なのです。眠っているあいだであっても、脳や体はすべて休んでいるわけではなく、起きているときとは違う、眠りのための働きをしています。ですから、眠くなるのは、力を使い果たし、それ以上動けなくなるからではありません。

1日のリズムの中に、起きて活動するパターンと静かに休ませるパターンがあり、睡眠は休ませる役割をになっているのです。つまり、起きているときと眠っているときが交互に訪れることで、体のバランスがとれるようになっているのです。起きることも眠ることも、自然のメカニズムといえます。

朝に弱いことが原因のトラブル

なぜ、朝早く起きるのか?

昔は、「朝に弱い」といえば、単なる怠け痛くらいに思われていました。現在では、多くの人が、さまざまな理由によって朝起きることに苦労しているようです。

それは、文明が進歩し、昼夜の別のない生活ができるようになったために、本来人間が持っている、夜は眠って朝は目覚めるという体のリズムがおかしくなってきているせいだという皮肉な理由もあります。

もともとは陽が昇ると起きて陽が沈むと眠っていたのですから、そのころから比べれば、今は4~5時間は、ずれた生活をしているともいえます。それならば、あと1時間眠ったとしても、人間本来のリズムが狂うこともないだろう、せめて1時間、いや、30分でいいから眠っていられればと思っている人も多いはずです。

このように悩んでいる人が多いのに、なぜ朝早く起きなければいけないのでしょうか。この素朴な疑問の答えは簡単です。社会のしくみが午前9時から午後5時までという時間帯を中心に動くようになっているからです。
これが午前11時から午後七7時だとしたら、いつもより一時間遅く起きても、朝食をすませてから余裕を持って出勤できるでしょう。

、寝る時間もさらに遅くなり、午前9時に起きるのがつらいということにもなりかねませんが。

日本では、郵便局、市役所などの公共機関、銀行、デパート、さまざまな会社など、ほとんどの機関が稼働するのは、午前9時から午後5時、遅くとも午後7時のあいだです。
そして、午後5時以降に、居酒屋やスナック、クラブなどの遊びやくつろぎのエリアが始動します。

昔のTV-CMに「五5時まで男」と「5時から男」というのがありましたが、まさに午後5時を区切りに、活動の時間帯とくつろぎの時間帯とが分かれるという社会なのです。体のリズムに合った生活をするためだけなら、毎朝7時ではなく8時に起きてもいいでしょう。

にもかかわらず、7時に起きなくてはならないのは、9時には会社に出勤しなければならないからです。つまり、社会のしくみを優先させた生活を強いられているのです。このような社会で生きていくには、朝早く起きられないとさまざまな問題が生じます。遅刻ばかりしていれば借用を失うし、午前中ぼーっとしていては仕事の能率が上がりません。したがって、社会生活に適応できない人とみなされてしまいます。そもそも、本人が毎朝つらい思いをしなければならないなど、それだけでもつまらない話です。
そのうえ、朝起きられないというだけで、さまざまな損をしてしまうことになるのです。

朝リラックスする時間がないので便秘になった

朝起きてから何分くらいで家を出ているでしょうか?できることなら、シャワーを浴びて朝食をとり、そのあと少しゆっくりしてから出かけたいと思いませんか。それなのに、あと5分でいいから眠っていたい…という気持ちについつい負けてしまい、結局、ぎりぎりの時間に飛び起きて、急いで顔を洗って家を飛び出すという生活パターンの人も多いのではないでしょうか。

たしかに遅刻さえしなければ、会社では文句をいわれることもないでしょう。しかし、朝のリラックスタイムがないということは、体のバランスにはとてもよくないのです。

その理由の1つに便秘になりやすいことがあります。みなさんも経験からおわかりかもしれません、便意を催すのは、たいてい朝です。
毎日二度から三度食事をとるのに、どうして時間のない朝にトイレに行きたくなるのだろうと思いませんか。ロに入った食べ物が24時間かかってウンチになるとしたら、夕食後にトイレタイムが来てもいいような気もしますが、朝ウンチをしたくなるのは、きちんとした理由があるのです。

朝、目覚めるのは、意識だけではありません。体のあらゆる器官についても同様です。眠っているあいだ、体はすっかり活動を停止しているわけではないのですが、かなりトーンダウンしています。寝る前にお腹いっぱい食べると、あくる朝胃が重くもたれてしまうのは、眠っているあいだは胃や腸が起きているときのような活動をしていないからです。そのために食べたものを翌朝までに消化しきれず、胃に残しているので、胃が重いという症状になります。

きると、意識とともに体が目覚め、さあ、朝だ… とばかりに胃腸も活動を始めます。しかし、寝起きがいい人と悪い人がいるように、胃腸もいつもぱっと元気よく目覚めるとは限りません。起きてからしばらくは、ぼーっとしていることもあるのです。便秘には寝起きに冷たい水や牛乳を飲むといいというのは、この刺激で胃腸を目覚めさせることができるからです。

便秘解消に効果的な水(一覧) | 便秘を解消しよう!
https://benpi-guide.net/contents/archives/416

ウンチをがまんすると、便意のセンサーが鈍ってしまう

便意というのは、直腸に便が入ると催すしくみになっています。ですから、朝起きて、胃や腸が目覚めていれば、自然とトイレに行きたくなるはずです。
しかし、目覚まし時計で飛び起き、シャワーを浴びる時間もなく、軽く洗面だけして家を飛び出すような生活では、「胃腸の目覚まし」代わりの牛乳一杯を飲む時間もありません。せめて駅で缶コーヒーでもと思っても、時間がぎりぎりだから、到着した電車に走って乗り込むような始末。会社にたどり着いてやっとひと息つき、そのときに飲む一杯のお茶やコーヒーが、最初の飲み物ということも十分考えられます。

したがって、朝ぎりぎりの時間に起きる人は、「さあ仕事が始まるぞ」というころになってから、胃や腸がやっと目を覚まして動き出すのでトイレに行きたくなるのです。

かといって、会社でウンチはしにくいものです。特に女性の場合、多少の便意ならがまんしてしまう人も少なくありません。それが便秘の元になります。わたしたちは、通常1日に1回は排便します。しかし、そうしてがまんしているうちに、便意のセンサーが鈍ってしまい、便が直腸に下がってきても便意を感じにくくなります。

そのうち便が硬くて出にくくなり、トイレで30分たっても出ないというような状態になってしまいます。さらに、何とか出たとしても、ころころした硬い便が数個だけで、その奥にある便までは出ないのです。

便が硬くなるのは、便意のセンサーが鈍ってきていて、軟らかい便がころころの硬い便になるまで感じないからです。対症療法として、便秘薬を飲んだり、浣腸をしたりする人も多いでしょう。

ですが、腸のセンサーがころころの硬い便になるまで感じないほど鈍っているのですから、そのときは便が出ても、また次からは硬くならないと出ないという状態が続きます。

快食、快眠、快便とはよくいったもので、便秘というのは本当に不快です。不快なだけならまだいいのですが、考えている以上に体のバランスを崩してもいます。

特に女性は肌に吹き出物などが出て、新たな悩みが生まれます。ぎりぎりの時間に起きて会社に駆け込むような人は、30分でも早く起き、トイレをすませてから出社することをおすすめします。朝のトイレタイムを持てるか持てないかで、毎日の心身の快適度がまったく違うのです。それが実感できるようになると、毎日便秘で苦しむよりは、少々無理をしてでも朝起きることのほうが、ずっと楽だと思うに違いありません。

朝、起きられない人は太る

朝が苦手だという人は、1分でも余分に眠っていたいのですから、家を出るぎりぎりの時間まで眠り、朝食を食べずに出社するという人がほとんどでしょう。

また、大学生やフリーターなど、時間が自由になる人であっても、寝起きの悪い人は胃腸の寝起きも悪く、起きてすぐにはものを食べられないという人が多いのです。

社会人の人なら、朝食を抜けば昼休みまで何も食べられませんから、朝起きて4時間以上、何もお腹に入れないことになります。お昼になればさすがにお腹が空くけれど、たった1時間の昼休みで、たらふくお腹をいっぱいにしようという人はいないでしょう。近くのレストランのランチ、あるいはおにぎりやサンドイッチで簡単にすませてしまいます。
それでも、とりあえず1回目の食事ですから、そこそこお腹がいっぱいになります。そして仕事に戻り、3時にコーヒータイムでお菓子を食べるくらいで夕食を迎えます。問題はそのあとです。
まっすぐ帰宅して家で夕食を食べる場合、その日は会社でお昼を1食しか食べていないのですから、かき込むようにがつがつと食べてしまいます。これでは、1 日の食事の中で夕食の比重が重くなってしまいます。

しかも、お腹はいっばいなのに、心の空腹感が消えず、しばらくするとお菓子に手が伸びることもあるでしょう。帰宅の前に同僚の何人かと飲みに行った場合でも、さんざん飲んで食べたのに、つい帰りにラーメンを…ということにもなります。

このようにバランスの悪い食生活は、時間が自由になる人であれば、もっと顕著に現れます。お昼に起きて、3時ごろ昼食。夕飯時には軽く食べておいて、夜中に夜食というパターンです。人間の体はリズムを持って生活しているのですから、朝起きるのが遅かったり朝食を食べ損ねたりすれば、そのぶん、通常のリズムより後ろにずれていることになります。

ですから、夜遅くなり、本来ならもう胃腸も休息する時間なのに、お腹が空くのです。ここで夜食をとるかどうかが、女性にとっての悩みの種となるはずです。女性の方ならご存じでしょうが、太る原因の最たるものは、「遅い時間に食べる」ことです。モデルクラブなどでは、食事の制限はしなくても、夜8時を過ぎたら絶対に何も食べてはいけないと指導しているところもあるほどです。
逆にいうと、朝早く飛び起き、昼間めいっばい活動すれば、夜更かしして遅い時間に食事をとることがなくなり、少々のダイエットより効果があるかもしれません。

生理不順の原因は不規則な睡眠時間が原因

生理不順というと、すぐに頭に浮かぶのは、ホルモンの異常や婦人科系のトラブルです。しかし、案外身近にも原因があるのです。
人間の体は、サーカディアンリズムという生体のリズムにのっとって活動しています。このリズムを刻んでいるのが体内時計ですが、体内時計は朝が来て夜が来て1日というように、朝の訪れを感知することで1日がスタートしたものと数えます。

そして、女性の生理は、この1日が約28回来ることで1つの周期を刻んでいます。ですから、週末だからと徹夜して朝に眠り、夕方起き出して朝方まで眠れず、次の日はデートで昼には起きて…という不規則な生活では、体内時計はいつが朝でいつが夜なのかわからなくなり、実際には朝が来て夜が来て1日たっているのに、体内時計では1日をカウントしないということになります。
そうなると、体内時計が数える日数と実際の日数のあいだに大きなずれが生じ、生理の周期もずれてしまうのです。

最近の若い女性に生理不順の人が多いのも、不規則な生活が原因という場合が多いかもしれません。多少、生理が不順だったとしても、体への影響はとりたててないでしょう。けれども、生理の周期が狂うということは、女性の体の機能に狂いが生じているということなのです。
逆に、そのせいでホルモンや自律神経に影響しないとも限りません。痛いとか、熱があるという形で現れなくとも、体のバランスが崩れれば、体の各器官にさまざまな影響があります。

こんなところからも、眠りと覚醒のリズムにのっとり、朝起きて夜眠るというのが、実はどんなに重要なことかおわかりいただけると思います。

毎日遅刻すれすれ、通勤時のいらいらが思わぬストレスに

遅刻すれすれの時間まで眠っている人は、起きてから猛スピードで身じたくをして脱兎のごとく家を飛び出し、会社にすべり込むという毎日です。たまにであれば、「あー間に合った」と胸をなでおろせばいいのですが、毎日がこんなパターンでは、精神的にもかなりの負担がかかります。

毎日のことですから、この電車ならぎりぎりOK、次の電車なら遅刻すれすれと、電車の時間はわかっているという人もいるかもしれません。しかし、バスなら道路の混み具合によって数分の誤差が出ます。

また、晴れや雨の日など天気によって、歩くスピードにも多少の差が出るでしょう。とにかくぎりぎりですから、少しの誤差も許されないだけに、前をゆっくり歩いている人がいれば先に進めず、いらいらするでしょう。

人ごみを走り抜けようと思えば、人にぶつかりそうになり、前を見てさっさと歩けなどといいたくなったことはありませんか。遅刻すれすれまで眠っていると、会社に着くまでのこの間、ずっと、時計とにらめっこで、いらいらした気分で過ごすことになります。

この毎朝のいらいら気分だけでも、積もり積もれば大きなストレスになります。通勤=「いらいら気分」ですから、寝坊の自分を棚に上げ、会社に行くのが嫌になるという人もいるくらいです。こうした朝からのいらいら気分は、その場の不快感だけでなく、仕事にも影響します。

息を切って駆けつけた状態では、すぐに頭は働きません。何をするときでも同じことですが、精神を落ち着かせるまでには時間が必要です。
ぎりぎりに駆け込んでいては、少なくとも、そのぶんロスタイムになります。到着してすぐに会議が始まるときなど、なおさらです。精神を落ち着けるのに時間がかかり、なかなかふだんの自分の頭に戻りません。
結局、いいアイデアも出ず、会議でもさえない発言しかできずに終わることになります。朝起きるのが人より遅いということは、1日の始まりで出遅れているのです。

朝のいらいらが仕事の能率を下げる

成績はたいへん優秀で頭もよく、第一志望の大手メーカーに就職も決まりました。その彼のたった1つの欠点が、「朝に弱い」ことだったのです。
昔から夜型人間で、朝起きるのがものすごくつらいというのです。朝はぎりぎりの時間まで寝て、親御さんに起こされて必死に起き、会社に駆け込むという生活が続きました。
社会人としての責任もあり、遅刻はしないのですが、毎日がぎりぎりセーフなのです。それでも入社した最初のうちは、はりきって仕事をするということで、高い評価も受けていました。

しかし、そのうちに同期が1人、2人と新しいプロジェクトなどに抜擢されていくのを悔しい思いで見守ることが多くなりました。そして、ある日彼は、それは自分が人より朝出遅れているせいだと気づいたのだといいます。

「11時くらいまでボーッとしていて、頭がさえないんですよ。会議に出ても集中できないし、積極的に仕事に取り組む気が起きないんです。それで、昼休みが終わってしばらくすると、やっと自分のペースになったなって思うんだけど、そこから仕事に馬力をかけても、すぐ退社時間になっちゃうでしょう。

1人の作業なら残業って手もあるけど、上司や相手先のあることだと、あくる日に延びちゃうわけです。これだと仕事の能率も悪くなるし、スタートのタイミングが遅れちゃってるからすべてが後手にまわっちゃって、上司に催促されたりして…。

できないやつって思われちゃったみたいです」彼の場合は、そんな自分に嫌気がさし、どんなにつらくても朝は余裕を持って出社するように心がけました。すると、仕事の能率が上がるのに自分でも驚いたといいます。

「今でも朝はつらいですけど、前よりはだいぶ楽に起きられるようになりました。何事にも慣れってあるんですね」今ではそういって頭をかきます。習慣をつけることで、朝起きることは非常に楽になります。急な坂も、毎日上っていれば苦しさが半減するのと同じことです。朝がつらいのも、毎日早起きしていれば、少しずつ楽になるでしょう。

努力だけでは解決しない眠りのトラブル

「仮面うつ病」が眠りを妨げている

「仮面うつ病」という病名を耳にしたことがありますか?この病気はうつ病と同じように心の病ではあるのですが、症状はうつ病とは異なっており、本人も自覚しにくい病気です。
うつ病というものは、その名のとおり、うつ症状が現れます。いわゆる、気分が重く、沈みがちで、無気力になり、何事もくよくよと悪いほうへ悪いほうへと考えてしまいがちになるのです。

うつ状態とは、生きるためのエネルギーが落ち込んでしまった状態、つまり生きる力がダウンして、さらに悪化すると自殺願望が強くなるのですから、ばかにできない病気です。とりたてて奇怪な行動をとるようなことはありませんが、何となく元気がないなど、本人はもちろん、家族や職場の人なども注意深く観察していれば、ある階で「ちょっとおかしいな」と気づくことができます。

ところが、この仮面うつ病は、人付き合いが悪くなって元気がなくなったといった、いわゆるうつ病らしい症状が精神面には出ません。だるくて朝起きられないといった、体の症状となって現れてくるのです。うつ病らしい精神症状が表に出ず、身体症状によって隠されてしまうことから、仮面をかぶったうつ病= 「仮面うつ病」といわれているのです。

本人にも心が病んでいるといった自覚症状がありません。自覚しないどころか、自分が心の病になるなんて考えもしないのです。本当はストレスが徐々にたまり、SOSが出ているのに、社会で働く以上、多少の悩みは当然だとばかりに、突っ走っている人も多いのです。
病気は、特に20代のはりきって仕事をしようという人たちに急増しています。

眠れない、起きられないは「仮面うつ」の初期症状

仮面うつ病の代表的な症状は、体がだるくて、なかなか朝起きる気がしないというものです。午前中はぼーっととしていて、夕方くらいになってやっと元気が出てくるといった具合です。
朝起きるのが大好きで、いつもすっきりと目覚めている人はあまりいません。そのため、仮面うつ病であっても、自分は朝が弱いんだくらいにしか思わないのです。

このほかに、寝つきが悪いという症状もあります。今までは横になったら1分もたたないうちに寝息をたてていたような人が、1一時間たっても2時間たっても眠れなくなるのです。
しかも、なかなか寝つけないばかりか、やっと眠れたと思ったら、ちょっとした物音で目が覚めてしまいます。また、明け方やっと眠れたかと思ったら、今奮闘している仕事がなかなかうまくいかないなど、気がかりなことが出てくる現実的な夢を見たりします。当然、睡眠時間は少なくなり、ぐつすりぐっすり眠っているわけではないので、睡眠の質も悪くなります。

朝起きられないのはもちろん、起きるとずいぶん疲れた感じで、午前中はどうしようもなく体がだるいという悪循環が起きます。この状態がさらに進めば、頭が重く、気分がすっきりしないことが多くなります。

このほかに、寝つきが悪いという症状もあります。今までは横になったら1分もたたないうちに寝息をたてていたような人が、1時間たっても2時間たっても眠れなくなるのです。しかも、なかなか寝つけないばかりか、やっと眠れたと思ったら、ちょっとした物音で目が覚めてしまいます。また、明け方やっと眠れたかと思ったら、今奮闘している仕事がなかなかうまくいかないなど、気がかりなことが出てくる現実的な夢を見たりします。

当然、睡眠時間は少なくなり、ぐっすり眠っているわけではないので、睡眠の質も悪くなります。朝起きられないのはもちろん、起きるとずいぶん疲れた感じで、午前中はどうしようもなく体がだるいという悪循環が起きます。この状態がさらに進めば、頭が重く、気分がすっきりしないことが多くなります。

「睡眠障害である」という認識が必要

初期の仮面うつ病は、重大な病気というよりは、風邪程度のものと考えてください。ちょっと喉が痛いとか、悪寒がするといった症状の代わりに、朝起きられない、夜寝つけない、そのためにだるくて集中力がないといった症状が出ているのです。

ですから、たまには息抜きも必要で、休み時間にスポーツをしたり、飲みに行ってカラオケで盛り上がったりして発散すれば、自分でも気がつかないうちに治っていることもあります。

朝起きられないということが病気の症状だとは、だれも思いません。まして、仮面うつ病になるような人は、「具合が悪いから今日も休んじゃおう」というのんきなタイプというよりは、がんばり屋の人が多いので、自分の生活態度が悪いとか、自我が弱くて自分に負けてしまっているんだというように、それこそ自分を責めてしまいます。

しかし、それは逆効果なのです。こういう人たちは、こんな大事なときに体調が悪いなんていっていられない。病は気からだと、自分にムチ打って仕事に精を出します。すると、さらに睡眠不足がつのり、集中力もなくなり、体がだるくて仕方ありません。やがては食欲もなくなり、体重も減り始めます。ここまでくるとさすがに、少し体の具合がおかしいんじゃないかという気になり、病院を訪れます。

当然、精神科などは思いもよらず、内科で診察を受けるでしょう。体がだるくなる病気の代表的なものは肝臓障害ですから、まず肝機能検査をするように診断されます。
しかし、原因はストレスですから、肝臓に異常があるはずもありません。「ちょっと疲れがたまっているんでしょう。できるだけゆっくり休養をとったほうがいいですね」と、アドバイスされて終わりです。

原因であるストレスを解消しなくては、少しも症状はおさまらないでしょう。めい人は、体に不調があると、心が滅入るものです。まして、病名もはっきりしないとなれば、いろいろな心配も頭を駆けめぐるでしょう。そして、さらにストレスを生み、どんどん悪化するという悪循環を招きます。

では、どうすればいいのか。仮面うつ病とはストレスによる睡眠障害だと、しっかり認識することです。そのうえで、医師のもとを訪ねてください、
は、抗うつ剤も非常に進歩しています。数週間薬を飲めば、また心地よい睡眠が戻ってくるでしょう。朝起きられないという、一見怠惰に見える状態であっても、睡眠障害がその要因になっている場合があります。
精神の病気だと深刻に考えず、相談でもするつ鴇りで気軽に来院してください。仮面うつ病は、うつ病の中ではごく初期の段階なので、重くならないうちに治しておくことが大切です。

不眠症のつもりが実は「仮面うつ病」だった

いつものようにふとんに入ったのに、いつまでたっても眠気が襲ってこない。眠ろうと思えば思うほど、どんどん眠りから遠ざかり、結局まんじりともしないで朝を迎える。そして、このままじゃ体がもたないと病院に行く。あるいは、ある日突然、夜眠れなくなってしまい、明け方うとうとするだけで朝を迎える。これでは疲れがとれるはずもなく、朝の目覚めはよくないし、体もだるくなり、ついには体調もおかしくなって、医者に相談する。これが、いわゆる「不眠症」です。

原因はストレスに起因することが多いのですが、人によって本当にさまざまです。たとえば、異例のスピードで突然管理職に抜擢され、若手との狭間でどうしていいかわからず、そんなことが頭をもたげてというように、具体的な心配事を抱えている場合もあれば、本人にはまったく思いあたることがないというケースも少なくありません。

ふっと星空を見たときに、「自分はなんて小さな存在なんだろう。この大宇宙に比べたら、眠れるとか眠れないなんて小さなことだ」と思い、すっかりよくなったという人もいるくらいです。
一方、自分は不眠症じゃないかと相談にみえる方のうち、「なぜだか自分でもわからないんですけど、どうも寝つきが悪くて、朝方まで眠れないこともあるんです」というような人が、実は仮面うつ病というケースが多いのです。

仮面うつ病は、精神的には本人に自覚がないのが特徴です。眠れないからと、心配されるほとんどの人が仮面うつ病です。仮面うつ病の場合、眠れないと翌朝つらいからと、お酒を飲んだり、睡眠薬を飲んだりしても、少しもよくなりません。数日間も眠れない日が続いたときは、不眠症ではなく、仮面うつ病を疑ってみるほうがよいでしょう。

専業主婦に多い、もう1つの不眠症

「夜なかなか寝つけなくて、不眠症じゃないか」と相談にみえる方の中で、もう1つのグループは、専業主婦の方々です。この場合、実は昼間のあいている時間に眠っているから夜眠れないという人がほとんどなのです。

子供も学校に通うようになり、便利な家電製品のおかげで家事の時間も短縮され、昼の時間に余裕ができた。そこでついうとうとしてしまい、夜眠れなくなるというパターンです。
毎日忙しくて睡眠時間が足りないときでも、昼間少しでも仮眠をとるとずいぶん楽になったように感じることがあります。たった1,2時間の昼寝で、疲れがすっかりとれてしまうこともあります。けれども、こんな生活では、夜は熟睡できません。

朝は体が重くて起きるのがひと苦労だと、悩んだ末に病院を受診されます。何日も心地よい眠りが得られず、精神的にも不安定な状態になっていますから、昼寝をやめたとたんに夜はぐっすり眠れるようになる… かといえば、必ずしもそうではありません。今夜も眠れないんじゃないか?と意識すれば、睡魔はどんどん遠ざかっていきます。

こういう場合は、昼間に軽いスポーツやヨガなどを始めてみるもよし、生活の中で緊張している時間とリラックスしている時間のめりはりをつけることも大切です。そうすれば、くつろぐべき時間には自然と眠りが訪れ、朝もすっきり目覚めるようになります。
いずれにしろ、不眠症の場合は、眠るということを意識し過ぎないことです。1日、2日眠れなくたって死ぬわけじゃあるまいし… といった大きな気持ちになることが、実は大事なのです。

太っていていぴきが大きい人に多い「夜間無呼吸症候群」

「夜間無呼吸症候群」は、なじみのない痛名かもしれませんが、睡眠障害の1つです。これはその名のとおり、夜、眠っているあいだに、一瞬呼吸が止まってしまうという恐ろしい病気です。「睡眠時無呼吸症候群」とも呼ばれます。

どうも朝起きるのがつらい、昼間でもどうしようもない眠気に襲われるという人のうち、太っていていびきが大きい人は、まず、この病気を疑ってみてくださすもうい。というのも、この病気にかかっている人のほとんどは、お相撲さんのように太っていて、ガーッガと大きないびきをかく人だからです。

年齢には関係ありません。実際、20代のお相撲さんで、この病気にかかっている人も多いのです。そして全員に共通しているのが、まさかそんな病気だとは夢にも思っていない点です。
睡眠時無呼吸症候群はこちら

肥満が原因で寝ているあいだに呼吸が止まる

この病気の原因は、極度の肥満です。肥満のために喉の周辺にも肉がたくさんついてしまい、舌の根っこの部分の筋肉がすっかりゆるんでしまっているのです。
立っているときは問題ありませんが、寝た姿勢になると、舌や舌の根っこのゆるんだ筋肉が気管に落ち込んでしまいます。それがじゃまになって、気管を通っているて吐き出される呼気がうまく外に出ることができず、それでも狭いところ一を無理やり通ろうとするので、抵抗音がいびきとなって出てくるのです。

ところが、寝ているあいだに何度か、気管がゆるんだ筋肉に完全にさえぎられ、呼気が外へ出られなくなってしまうことがあります。ほんの30秒か1分ことですが、そのために呼吸が止まり、脳に酸素が届かなくなるので、質のせ眠りが妨害されます。

その結果、睡眠時間は長いのに睡眠不足の状態となり、仕事中に猛烈な眠気に襲われ、居眠りをしてしまうわけです。太っていていびきをかく人は、ガッすごいいびきをかいていたのに、一瞬パタッとい息が止まることがないかどうか、家族の方に聞いてみてください。
この病気の場合も、意思の強さだけではどうしようもありませんが、きち′した治療が必要ですから、不安な方には病院で相談することをおすすめします。

起きる意欲も重要

20代に急増する「消極的出社拒否症」

よく、年をとると早く目が覚めるなどといいますが、本当はだれでも、眠っていられるのなら、ぬくぬくとしたふとんにくるまっていたいのではないでしょうか。
特に冬場などは、目覚まし時計が鳴り、もう起きなくてはいけないのに、あと5分、10分…と、ぎりぎりまで横になっていた経験を持つ人も多いでしょう。

にもかかわらず、なぜ起きなければならないのかといえば、学校や会社へ行かなければならなかったり、映画やゴルフに行く約束があったりという「理由」があるからです。ところが、最近は、ずるずると寝坊してそのまま学校を休んでしまったり、「もう遅刻だから今日はいいや」と会社を休んでしまう若者が増えています。

それぞれに起きたくない理由が、あるにはあるのです。しかし、それは、外が寒そうだとか、昨日飲み過ぎて体がだるいとか、その日嫌いな科目があるといった、ささいな理由の場合がほとんどです。

また、嫌な上司がいてあいつとは会いたくない、先輩にいじめられる、自分の希望以外の部署に異動させられたなど、会社に行きたくない理由がある場合でも、それをはっきりと自覚しているわけではなく、自分でもよくわからないのだけれども、何となく行きたくないという気分に包まれているケースが増えています。

そのために、もう会社を辞めよう、自分は悪くないんだから正々堂々と闘おうといった主体的な態度に出ることはありません。そこまでの強い気持ちはないのです。嫌なことと闘う気力もなく、とりあえず無意識に逃げてしまっているのでしょう。

黙っていてもバッと目が覚める人ばかりではありません。目覚まし時計で起き、「よし、起きるぞ」と自分を励ましてふとんから出るという場合も多いはずです。
そのとき、楽しいことがあれば起きる意欲は強まり、自分でも自覚できないちょっとしたことが引き金になって、起きる気力がなくなることもあるのです。

無気力は起きる意欲をそぎ落とす

ところが、最近は、嫌なことがあるわけでもないのに、何となく起きられないという人が増えています。会社に行くことに、わざわざ気合いを入れてあたたかいふとんから出るほどの価値を見出していないということです。上司が特別に嫌なわけでもないし、友だちもそこそこいて、行けば行ったで楽しいけれど、わざわざ行くほどの意味を持たない。
かといってほかの仕事をしたいとか、何かやりたいことがあるわけでもない。つまり、人生に生きがいを見出していないのではないでしょうか。仮に、2~3日寝坊して、会社を休むとします。当然上司からは、「何やってるんだ、いいかげんにしなさい」「そんな状態じゃなく、辞めるか、しっかり出てくるかはっきりしなさい」というような電話がかかってくるはずです。上司の立場からいえば、このままじゃ会社を辞めさせられると心配になって出勤してくる、という心積もりがあります。

でも、本人はそういわれると、ますます行きたくなくなるのです。「そんなふうにいわれちゃうんだったら、会社辞めちゃおうかな…」というように、仕事に関しても、生きることに関しても、そんな程度の執着しか持っていません。

これが、若者たちに蔓延しているこわい現象です。これまでずっと、受験戦争の中で闘う小学生、闘う中学生をやってきたのに、会社に入ってもまた同じように闘わなければならないと思うと、途方もなく疲れる気分になるのでしょうか。問題なのは、本人もそこまでは気づいていないことです。
思いあたる嫌なことは特にないわけですから、朝きちんと起きられれば、もっと仕事ができるのに…と思っている人もたくさんいます。みなさん一様に、朝起きられないとか、何だか会社に行く気がしないという理由で訪ねてくるのですが、どこを診ても病気ではないし、薬を使ってもいっこうによくならないのです。

自分の意思で起きられない子供たち

最近は、小学生、中学生にも、朝に弱く、午前中はボーッとしているという子供たちが増えつつあるといいます。夜遅くまで塾に通い、家に帰っても、勉強してから寝るというような毎日を送っている子供も多いらしく、考えてみると、無理のない話のようにも思えます。

母親も、子供が疲れているだろうと気遣い、一度、起こして起きなくとも叱るようなことはしません。何度も根気よく声をかけ、遅刻寸前にしぶしぶ起きても、何とか学校に間に合っているんだからと許してしまうおかあさんも多いと思います。

こうして、小さいころから「朝に弱い」生活が始まるわけです。しかし、ちょつと考えてみてください。先ほど、「させられる人生」「してあげる人生」を送ってきた人は、人生に生きがいを見出していない…という話をしましたが、こうして、朝起きるまで起こしてあげるのが当たり前というところから、子供たちの「させられる人生」「してあげる人生」が始まるのです。今では、戦後の二人っ子世代が親になる時代です。すっかり平和で豊かになった世の中で、その子供たちは、愛情過多による過保護、過干渉で育てられることが多いようです。

そのせいで、自我の形成が遅れ、大人になっても自分で自分を抑制できない人が増えています。そして、朝起きられないなどという程度にとどまらず、過食症や拒食症といった新しい病気すら出現することになりました。
こうして考えていくと、朝、自分の意思で起きるということが、子供たちにとってどれほど重要なことかがおわかりでしょう。いきなり自分で起きなさいというのが無理なら、たとえば、毎朝起こすとき、一度起こしたらもう遅刻しても知らないという態度をとるなど、なぜ起きなければいけないのかを子供たちに考えさせてみるのもよいでしょう。

遅刻したくないとか、友だちを待たせることになるとか、自分の理由が見つかれば、つらくても起きるようになるはずです。それで1,2度失敗して遅刻したところで、自分から起きられるようになることのほうが大切ではないでしょうか。そういう意味では、なぜ朝起きるのか、なぜその高校に入りたいのか、何をするにも、だれかのためにしてあげるとか、だれかにやらされているのではなく、自分の意思でやっているのだという自覚を持たせることが大切だと思います。

本人も気づかない自我の弱さ

「わたしは低血圧だから、朝が苦手」というのは、すっかり決まり文句になっています。しかし、「低血圧だから朝が弱い」という人たちの中には、次のようなグループもあります。それは、自分の眠りとか、もっと眠りたいという気持ちをコントロールするだけの自我の強さを持っていない人たちです。
これも本人は気づいていない場合が多いのです。自分の人生だもの、朝起きようと寝ようと勝手なはずで、自我の話なんて持ち込まないでくれと、少々ムッとする人がいるかもしれません。しかし、この場合は、本当に寝ることが大好きで、自分の意思で寝ていたいから寝るという積極的な人の話ではないのです。本当はもっと余裕を持って家を出たいのに、どうして自分は朝が弱くて、いつもぎりぎりにしか起きられないんだろうと、ぼやいているような人の話です。

たとえば、おかあさんたちは、子供にお弁当を作ってあげなければいけないから、本当は寝ていたいけれども、起きなければならないと思って起きます。このほかにも、大切な会議があるから、自分が行かなければ店がオープンしないからしったと、一種の使命感とか役割意識が、もっと寝ていたいという自分を叱咤激励して起こすわけです。

朝早く日が覚める人が、葛藤もなく起きているかというと、そうではありません。一方、自我が弱い人たちは、遅刻しないように眠いのをがまんして朝起きるとか、おいしいものが食べたいけれど給料日前だからがまんするなどといった、自分の欲望をコントロールする訓練ができていないともいえます。

「もっと寝ていたい」気分と「起きなきやいけない」気分との闘いで、常に、「起きなきやいけない」気分が負けてしまっているということです。「自我が弱い」というと大げさですが、それは自分の中のささいな部分だったりもするのです。だんだんと仕事を覚え、部下もでき、責任感が出て、もっとしっかりしなくちゃと自覚することで、「朝に弱い」のが治ったという人もいるくらいですから。そういえば? と思いあたる人はいないでしょうか。

不規則な生活がリズムを乱し自律神経を不安定にさせる(体内時計と自律神経)

体内時計を狂わせてしまう原因

現代人は昼夜の区別のない生活を強いられていますが、加えて、非常にアンバランスな豊かさで平和な時代ともいえるでしょう。大学生の大半は、学費はもちろん、生活費も親に仕送りをしてもらっています。
アルバイトをするのは、自分が欲しいものを買うため。生活のためというわけではないので、嫌だったら辞めて、また次を探せばいいという感覚です。

学校を卒業し、働き出すようになっても、親や家族を養わなければならないという話はあまり聞きません。就職状況は一時期より厳しくなったとはいっても、仕事が何もないということではなく、アルバイト感覚の求人であれば山ほどあります。多少貧乏暮らしになろうと、生活できないということはないのです。

こうした社会の中では、時間に拘束されることもありません。寝るのも食事をするのも、テレビを観るのも、働く時間さえ自分の好きなように決められます。
事前に約束したこと以外は、まるで時間的拘束のない生活を送れるわけです。前の晩、朝方までビデオやDVDを観ていて、翌朝起きるのがつらければ、そのまま朝まで眠っていてもいいし、朝起きるのがつらければ、夜のアルバイトを探せばいいということになります。

眠くなったら寝て、お腹が空いたらご飯を食べる。一見、快適な生活に見えなくもありません。何時に起きてもいいのなら、苦労して朝起きる必要なんてないという気もしてきます。

ところが、そうやって思いのままに生活していると、体内時計が狂ってしまうのです。そしてそれが高じると、体にも変調をきたすようになります。眠っても眠ってもすっきり目覚めず、1日中頭がぼーっとしたり、体がだるかったりと、決して健康的な毎日を送れなくなります。そうなると、もう気ままに喜んでいるわけにもいかなくなるのです。快適な生活とは、とてもいえない状態です。

体内時計は25時間のリズムで動く

体内時計は、大脳の松果体というところにセットされており、生理的にはだいたい25時間のリズムで動いています。ですから、朝なのか夜なのか区別のつかない、静かで真っ暗な部屋で体内時計そのままに生活していると、1日1時間ずつ時間が後ろへずれていきます。
すると、12二日後には12時間ずれますから、昼と夜が逆転してしまうことになります。しかし、それでは困るので、わたしたちは、社会的な要請から、25時間のリズムを24時間に直しているのです。朝7時なら7時という決まった時間に目覚まし時計をセットし、強制的に叩き起こして、体内時計のずれを調整しているわけです。

このようにして、わたしたちは、夜決まった時間にべッドに入り、朝もだいたい決まった時間に目を覚まし、1日の活動に入るという睡眠スケジュールで活動してきました。夜と昼が交互に訪れるというリズムにのっとって、ある均衡を保っていたのです。

体は夜が来て昼が来て1日、また夜が来て昼が来て2日たったという認識をしますが、その夜と昼の違いというのは、光で感知しています。

明るいところにいるあいだは、ここが昼だなと思い、そのあと暗くなれば夜だなと思うといったように、暗いところと明るいところが交互にあることで、初めて1日が終わったと認識するのです。

さらに、女性の体の場合は、その昼と夜のセットである1日が28回来ると、次の生理だと認識します。1日のリズムがセットになって、また違う体のリズムも作られているわけです。ところが、時間が自由だからといって、朝までテレビを観て昼間寝ていたかと思えば、早朝からアルバイトに行ったりという、昼夜を無視した不規則な生活を続けていると、体内時計のリズムがめちゃくちゃになってきます。

おまけに、そのような生活では、当然、睡眠時間も4時間だったり、12時間だったりとまちまちで、リズムも何もあったものではありません。昼間でも、カーテンを引いてぐつすり眠れば疲れはとれるから、いつ眠ってもち睡眠時間の帳尻さえ合えばいいではないかという人もいるでしょう。

けれども、人間の体というのは、あるリズムやメカニズムが保たれていることが大切なのです。その証拠に、朝起きる時間も不規則、夜寝る時間も不規則といった生活をしている人の中には、トータルとしては十分な睡眠時間をとっていても、頭も体もすつきりしないという経験を持っている人も少なくないはずです。
時間は十分でも、きちんと健康的な睡眠をとっていないので、朝も疲れがとりきれず、すっきりと起きられないということになるのです。

体内時計の破壊で起こる病気

不規則な学生生活を終えて、社会人ともなれば、朝は決まった時間に起きなければいけません。初めはつらいかもしれませんが、しばらくがんばれば、徐々に体のリズムが戻り、ほとんどの人は何とか朝起きられるようになります。

ところが、こうして昼と夜の混乱状態が繰り返されているうちに、時差ボケの症状が慢性的になり、本当に朝起きられなくなってしまう人もいるのです。この状態を、アメリカの精神医学会では「睡眠覚醒スケジュール障害」と名づけ、精神障害の1つとして診断の手引き書に登場させているほどです。

体内時計が徐々に狂ってくると、規則的に眠りが襲ってこなくなります。夜になっても眠れず、朝になっても起きられないという生活パターンはもちろんのこと、ついには朝になっても眠れず、眠ったと思えば20時間も続けて眠ってしまったといったように、本来人間が持っていた睡眠と覚醒のリズムが完全に壊れてしまうのです。

人間の体に不要なものは1つもないといわれるとおり、体内時計も必要があってセットされているわけですから、それを一度壊すと、元に戻すのは実にたいへんなのです。

時差ボケの不快さは、経験者の方ならよくおわかりだと思います。頭はぼーっとして、自分の体なのに自分の思うように動かない調子の悪さ。体は疲れているはずなのに、ベッドに入っても目がさえて眠れない。大事な仕事中なのに突然、強烈な眠気に襲われ、ふり払うのに苦労することもあります。

「睡眠覚醒スケジュール障害」とは、毎日、この時差ボケの状態ですから、ひどい場合はまともに仕事もできなくなるほどで、想像以上に深刻な病気といえるでしょう。もちろんその原因は、不規則な生活だけとはいえません。ある日突然、気がついたら翌々日の朝まで眠っていたという人もいます。しかし、

その大半は不規則な生活を続けた結果、徐々に体内時計が壊されて起こるケースが多いのです。現在、この「睡眠覚醒スケジュール障害」でつらい生活をしている人は増加傾向にあります。だれもが当たり前に与えられると思っていた心地よい睡眠に、障害が出始めているのは事実でしょう。

体内時計が狂うと自律神経も狂ってしまう

体内時計が狂ってくると、肉体的にもさまざまな影響が出てきます。人間の体というのは、昼と夜が交互に訪れるというリズムで均衡を保っています。この体のリズムが狂ってくると、夜と昼のスイッチの切り換えが悪くなってくるのです。わたしたちの体は、昼間活動するときは交感神経が優位に働き、各器官が活発に働くようになっています。

その反対に、夜は副交感神経が働き、昼間活発に働いていた各器官が休養をとります。・簡単にいうと、交感神経はエネルギーが消費される方向に、副交感神経はエネルギーを温存する方向に働くと考えてください。しかも、この2つの神経は、体の状況に合わせて調節されるようになっているのです。

体内時計は、この2つの神経のスイッチを「オン」にしたり「オフ」にしたりするという重要な役割を担っています。

夕方になると副交感神経が優位になるように切り換わり、朝になると交感神経が優位になるように切り換わるのです。別の言い方をするなら、夜、スイッチが副交感神経に切り換わるから眠くなり、朝になって再び交感神経に切り換わるから、目覚めて活動ができる体になるともいえます。

ですが、体内時計に狂いが生じると、その切り換えがうまくいかなくなります。昼夜が入りまじったかのような生活にすっかり混乱してしまい、いつ交感神経をオンにすればいいのか、いつ副交感神経に切り換えればいいのか、わからなくなってしまうのです。

この切り換えがうまくいかないと、夜は眠くならないし、朝は起きられないということになります。起きられないのを無理やり起こしても、スイッチがなかなか切り換わりませんから、意識が謄胞として、寝ているのか起きているのかわからないような状態になるわけです。

こういう場合、ほとんどの人が「自分は低血圧で朝が苦手だ」といいます。たしかに症状は低血圧なのですが、原因が体内時計の破壊にあることには気づかないのです。

そのうえ、体内時計のリズムが狂うと、朝起きられないばかりか、体内の臓器の働きや各分泌系の活動、筋肉の動きなどもめちゃくちゃになり、不健康な状態になります。
その最たるものが「自律神経失調症」です。この病気は、食欲不振や生理不順どを引き起こします。やがて、副腎皮質ホルモンの分泌など、体のバランスを保つのに重要な内分泌系にも異常をきたし、思わぬ障害につながっていく可能性もあります。このように、体内時計は重要な役目をになっています。かつては「朝起きられない怠け病」と思われていた「睡眠覚醒スケジュール障害」が、最近注目され出したのも、眠りのリズムが狂うだけではなく、肉体的にも影響が大きいからといえるでしょう。

自律神経のバランスが崩れてしまう原因はほかにもこちらにあります

朝に弱い人生は損している

苦手な朝を克服しよう!という決意は自分次第

こうしてみると、朝起きることがそんなに大げさな話なんだろうかと、疑問に思われる方もいるかもしれません。しかし、自分でも気づかないうちに、「させられる人生」や「してあげる人生」を送っている人は多いのです。

これらの人たちは、自分が本当は何がやりたいのか、どのようにして生きていきたいかということを、真剣には考えたことがないといえるかもしれません。

現在の日本では、義務教育は中学校までとなっていますが、ほとんどの人が高校へ進学し、大学まで行く人もまったく珍しくなくなりました。
また、特殊な技術を身につけていなければ、職がないということもありません。飢えることも、生命を脅かされるようなこともない平和な時代ですから、ただぼんやりと日々を過ごすうちに大人になってしまったという人も少なくないでしょう。何となく就職して、適齢期がきたから結婚をする。

自分というものを見つめなくても、一生を送ることは可能です。しかし、一度考えてみてください。朝起きられなくて損をするのは自分なのです。遅刻が続いて上司の借用を失ったとしても、上司には関係がありません。今の会社で働くことを決めたのも、この先だれかと結婚しようとと思ったとしても、こういう人生を送ろうと考えても、決めるのはすべて自分です。

世間の常識や親の意見ではありません。決めるのは自分であると気がつきさえすれば、朝は自然に起きられるようになるはずです。
あるいは、今日は無理に起きる必要はないと判断することもできます。朝起きることも眠ることも、大きくまわっている人生の中のできごとの1つです。決めるのは自分自身であることを忘れないでください。

人生に目覚めれば、朝も目覚める

朝起きることも、24時間という1日の流れの中の1つのできごとです。ですから、これだけを断片的に取り上げても、どうにかなるものではありません。
また、体のバランスの問題だけでもありません。朝起きることと人生のあいだには、次のような探いつながりがあるのです。

  • 夜きちんと眠れば、朝気持ちよく目覚める
  • 朝気持ちよく目覚めれば、朝食がおいしい
  • 朝食をとると、トイレに行きたくなる
  • 排便ですっきりすれば、体調がよくなる
  • 体調がよければ、気分もよくなる
  • 気分がよければ、イキイキしてくる
  • イキイキしていれば、魅力的になる
  • 力的になれば、付き合いも視野も広がる
  • 刺激を受ければ、前向きになる
  • 前向きになると、興味や好奇心が深まる
  • 好寄心が深まると、凍ているのが惜しくなる
  • 起きると楽しいことが待っているので、朝起きようというパワーが出る
  • 起きているときはフルパワーで稼働するので、生活にめりはりが生まれる
  • アクティブに行動するので、夜も熟睡できる

「朝が苦手」「朝がつらい」「朝は嫌い」について自己分析してみる

なぜ、朝が苦手なのだろうか?

現代は、長い人類の歴史の中で、ここまで「眠り」に関して苦労するのは、初めてのことかもしれません。皮肉にも、こちらでも紹介したように、昼夜の別のない社会、めまぐるしいスピードで過ぎる時間の中で、便利に快適になっていく社会環境とは反比例して、人間の体が悲鳴をあげつつあることの証でもあるのでしょう。

「心地よい目覚め」とは、独立して成り立つものではありません。快適に目覚めるためにはきちんと眠ることが必要であり、きちんと眠るためには心も体もリラックスしていなければならない。
このように、すべての要素がつながっています。眠りのリズムにしても、人間の体の中にあるサーカディアンリズムというリズムの中の一部に過ぎません。

排泄、ホルモン、血圧、体温などと同様に、睡眠と覚醒も体のバランスのリズムの1つです。したがって、体は健康だけれども寝起きが悪くて…という人はいません。

1つが変調をきたせば、低血圧や便秘、頭が重いなど、ほかの器官にも影響が出てきます。現代では、「朝に弱い」といっても、単なる寝不足や低血圧というだけではなく、ストレスからくるうつ症状による不眠、肥満による睡眠障害、勤務時間が不規則なための眠りのリズムの変調など、原因のわかりにくいものも数多くあります。

ですから、「朝に弱い」ということだけを取り上げても、何の解決にもなりません。1日の流れの中で、昼でも夕方でも夜でもなくて、朝だけがつらいのはどうしてなのか。まず最初に、この点にスポットをあてて考えてみましょう。

眠りのメカニズムや生活パターンを知ることも、大切なポイントです。熟睡する方法や気持ちよく目覚める方法も役立つでしょう。

「朝に弱い」本当の原因を見つけ出さなければ、本当の解決にはつながりません。

朝起きなければならない理由

朝起きられない人には、さまざまな原因が考えられます。ですが、うつ症状による不眠や「睡眠覚醒スケジュール障害」などの病的な睡眠障害でないかぎり、実は、朝起きるほどの理由がないという人が、ほとんどなのではないでしょうか。

ここでいったん「自分は何のために朝起きるのか」を。「会社があるから仕方ない」「朝起きるのが自然だから」人それぞれに理由があると思います。
もちろん、遅刻の常習者では会社での信用がなくなってしまいます。寝坊して待ち合わせの時間に遅れれば、困ったやつだと友だちにいわれるでしょう。
また、不規則な生活は体のバランスを崩し、快適な生活が送れなくなるのですから、朝起きることは大切です。しかし、自分自身が本当に朝起きたい理由があるかどうかということです。

子供のころを思い出してみてください。普段なら起こされてもなかなか起きないのに、遠足の日や自分が楽しみにしていた日の朝は、起こされる前から起きて出発の時間を待っていたという経験はありませんか。

大人も同じことです。海外旅行などに出かけたとき、夜中過ぎまで食べたり飲んだりしていても、目覚まし時計もセットしていないのに、翌朝早くに目が覚め、身じたくを整えたりするでしょう。だれも文句をいわないのに、さっさと起き出して地図やガイドブックを見ていませんでしたか。

自分自身にやりたいことや目的があれば、だれかに強制されることがなくても起きられるのです。たとえば、会社の受付の女性に恋をしたとします。
朝早く出社しないとその人に会えないとなれば、多少睡眠不足でもバッと起きられるのではないでしょうか。会社には別に行きたくないけど、仕方がないから行ってるだけ。趣味もないし、好きな人もいない。旅行に出かけても、ツアーで予定が組んであるから朝起きるけれど、別に行きたい場所があるわけじゃない…。

これでは、朝起きるのがつらくて当然です。こういう人たちは、自分の人生に、楽しいことを何も見出していないのではないでしょうか。

朝に弱い」は「させられる人生」に通じる

幼いころ、毎朝どのようにして起きていましたか。お母さんに起こしてもらう人、自分で目覚まし時計をかけて起きる人、目覚まし時計が鳴る前から目が覚めていた人、起こされても起きなくて、遅刻をしてはお母さんのせいにしていた人。

起き方にもいろいろありますが、この差が実は大きいのです。普通は、子供のころはだれかに起こしてもらっていても、自我が芽生えてくると自分の意思で起きるようになります。

遅刻をしたくないから、無理をしてでも起きるわけです。ところが、ずっと起こされてしぶしぶ起きていたような人は、起こされたから起きてあげるといった、「させられる人生」「してあげる人生」を送ってきたといえます。「もう時間よ、早く起きなさい」と声をかけられても、いつまでもふとんの中でぐずぐずし、「お願いだから起きてちょうだい。学枚に遅れちゃうわよ」といわれて、やっと起きる。

こういう人たちは、自分は寝ていたいのに、親がうるさいから起きているのに過ぎません。頼まれて起きているから、遅刻をしないですんでいたのです。

このことは、単に「起きる」話だけにとどまりません。親が高校に行けといったから行く。大学に入ってほしいといわれたから勉強する。何1つ自分の意思で決めずに生きてきたという人も少なくないのです。

同様に、自分ではやりたいことがわからないのだけれど、周りの友だちはみんな就職活動をしている。何となく、自分もふらふらしているわけにはいかないだろうと思い、とりあえず会社訪問をし、内定したところに入社する。これでは、いざ朝早く起きなければならないとなつても、自分の中で本当に「起きる」理由は見つかっていませんから、起きようというパワーが出なくても当然でしょう。

子供のころからずっと、起こされてやっと起きていた人は、自分で意思を持って起きるという訓練をしていません。いつもだれかが「お願いだから起きてちょうだい」といってくれていたからこそ、起きてこられたのです。

つまり、起きるための理由を自分で探す必要がありませんでした。ですから、大人になっても、起きる理由がないままなのです。極端にいえば、生きる理由がないのと同じことかもしれません。

自我が確立されていない人は「朝に弱い」

これまで「させられる人生」を送ってきた人には、自分で何かをしようという自我が確立されていない人が少なくありません。朝起きることは、だれもが楽にできることではないでしょう。

だれしもが、朝は眠くてつらいものです。しかし、多くの人は、遅刻をしたくない、今日は映画に行きたい、ダンスの練習がある、デートの約束をしているなど、それぞれの理由があるからこそ、えいっと起き上がります。こうして何年も、眠気と戦いながら、起きる訓練をしてきたのです。
一方、起こされ続けてきた人は、朝のつらさに変わりはないのですが、やりたいことがあるから、自分で自分をコントロールし、がまんをして起きるという経験を積んでいません。そのため、大人になっても、「起きてちょうだい」と頼まれなければ起きる理由が見出せず、「もっと寝ていたい」自分をおさえることができないのです。
そして、結局ふとんの中から抜け出せません。朝起きられないということは、自分では意識しないうちに、「させられる人生」を歩んでいることになります。「起きる」意思を持ち、自分で自分をコントロールできる自我を確立させることが大切です。