朝の時間は使い方次第で有効な時間に

朝の60分は、夜の数時間分にも匹敵する

忙しい人ほど朝早く起きているという話をよく耳にします。1日のスケジュールびっしりで、夜は夜でパーティーや夕食会などに参加しなければならない人にとっては、朝がいちばんスケジュールをとりやすいのでしょう。

散歩をしたり、ジョギングで汗を流したり、仕事とはあまり関係のない本を読んだりなど、仕事に行く前の朝の時間というのは、やり方しだいで有効に使えるものです。それだけではありません。仕事のあとでは、ぼんやりしてしまって頭がしっかり機能しないことも多いかもしれませんが、朝ならば疲れがとれているのですから、脳も元気で集中力があります。
体も同様に、仕事のあとはくたくたですが、朝にはまた元気を取り戻しています。そのうえ、夜ともなれば飲みに行こうとか、ビデオやDVDを観ようなど、多くの誘惑が生まれます。

しかし、朝にはそういったものがありませんから、自分だけの時間を有効に使うことができるのです。とりあえず、1日でもいいですから、いつもより1時間早く起きてみてください。そして、散歩をするなり、本を読むなり、ゆっくり朝食をとって新聞を読むなりしてみてください。その時間の長さに驚くはずです。同じ時間なのに、朝の1時間は夜の何時間分にも感じることでしょう。

毎朝1時間が積み重なると大きな成果に

毎日早朝に行なわれる英会話のクラスに通い、2年間で十分に会話ができるようになった青年がいます。海外旅行が好きで、連休のたびに貯金をはたいてはさまざまな国に出かけたそうです。
そして旅行から戻るたびに、もっと英語ができたら行動範囲も出会う人もずっと広がるのに…と悔しい思いをしたといいます。何度目かの旅行の帰路、ついに彼は行動に移そうと決心しました。会社の近くに英会話のスクールがあり、初めは夜のクラスをとったそうです。

始まりは午後の6時半ですから、会社が終わってからでも十分間に合うのですが、残業が入ったり、上司に酒場に誘われたりして、なかなか続けられなかったといいます。仕事が忙しくなれば息抜きも欲しくなり、今日はまあいいかと、同僚と飲みに行ってしまう日もあったそうです。結局、休みがちになってしまい、授業も飛ばしてばかりでは身が入らず、思い切って朝のクラスに変更したのです。

最初のうちはつらかったものの、これまでのように休んで月謝をむだにしたくないという気持ちも強く、ときには這うようにして通ったそうです。

彼によると、起きるときはふらふらでも、クラスへ行けば、楽しくて目が覚めるのだそうです。15五人近くのクラスなのですが、一方的な授業ではないので緊張もするし、学生を中心にさまざまな職種の人たちなど、面白い顔ぶれが集まっているので、雑談をしても刺激になるというのです。そのうち、それが日課になり、毎日通って英語も上達するから行くのがますます楽しくなり、2年間続いてしまったといいます。毎晩仕事が終わってから、自分だけの自由時間を1時間とろうと思っても難しいものです。

しかし、朝なら決心しだいで十分可能になります。水泳でも、少しずつ絵を措くことでも、通信教育で資格を取ることでもかまいません。
何をするにしても、朝の一時間が積もれば大きな時間になるはずです。起きるのがつらくても、目標があれば励みにもなります。そのうえ、今まで気づかなかった何かを自分の中に発見したり、上達するという喜びを実感すると、ますます楽しくなるに違いありません。

これまでふとんの中にいた1時間も、積もれば自分の財産になるのですから、朝の時間は見過ごせません。

15分早く起床すれば1日に余裕がでてくる

早起きにはもう1つの利点があります。昼間中心の社会のしくみの中で、人より少し早くスタートが切れるということです。そして何よりもいいのは、何をするにも余裕が生まれるということでしょう。

いつもぎりぎりの時間に会社に着いていた人は、余裕を持って出社し、15前に席についてみてください。その日のスケジュールを反芻するもよし、コーヒーを飲みながら午後の会議の書類に日を通すもよし、上司と世間話をするのでもかまいません。追い詰められた気分で出社時問にすべり込む状態に比べれば、精神的にも余裕があり、体全体にエネルギーがみなぎるはずです。

人は心に余裕があれば、それが自信につながり、歩き方からしやべり方まで変わってきます。たとえば、会議で何かを提案するときも、下調べがきちんとしてあったり、確信しているときにはひと言ひと言が自信に満ちています。

反面、少し不安だったり、勉強不足だったりするとおどおどした態度になり、生彩を欠いてしまい、訴える力もなくなってしまいます。
いくら朝がつらいといっても、たった15分早く起きるだけでいいのです。それだけでも、その先の1日がまったく違うものになります
。ちょっとの努力を1週間続けてみてください。余裕が生まれれば、周りのいろいろなものが目に入り、世界が広がったような気になるものです。ひょっとしたら、世界がこれまでとは遣って見えるかもしれません。

目覚めてもすぐに体は動かない

「朝に弱い」人は、ぎりぎりの時間まで寝ていますが、起きたとなったら、びっくりするほどの猛スピードで身じたくをし、家を出るという特技を持っています。
それはそれで立派なことですが、残念ながら、身じたくはできても、体の中はそんなにすぐには動けないのです。

まず、胃腸です。起きて牛乳などを飲み、朝食を食べ終わったころ、やっとウンチがしたくなります。しかし、起きてすぐに家を飛び出したのでは、胃腸が活発に動き出すのは会社に着くころです。出かける前に牛乳を飲んだのはいいけれど、電車の中でトイレに行きたくなり、冷や汗をかいたという詰もあります。

睡眠と腸の働き | 眠りの悩みを解消しよう!によると夕食を早く済ませ空腹で眠るのがベストだそうです。また、夜遅い時間に食べている人の腸は汚れがちだそうですので、こういったことも朝、起きられない要因になるかもしれません。

脳や体の各器官にしても、起きてすぐに活発に動き出すわけではありません。シャワーを浴びたり、朝食を食べたりという刺激によって、少しずつ動き始めるのです。できれば、出かける1時間前には起きたいものです。この1時間で、体は万全の準備を整えることができるのです。

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