努力だけでは解決しない眠りのトラブル

「仮面うつ病」が眠りを妨げている

「仮面うつ病」という病名を耳にしたことがありますか?この病気はうつ病と同じように心の病ではあるのですが、症状はうつ病とは異なっており、本人も自覚しにくい病気です。
うつ病というものは、その名のとおり、うつ症状が現れます。いわゆる、気分が重く、沈みがちで、無気力になり、何事もくよくよと悪いほうへ悪いほうへと考えてしまいがちになるのです。

うつ状態とは、生きるためのエネルギーが落ち込んでしまった状態、つまり生きる力がダウンして、さらに悪化すると自殺願望が強くなるのですから、ばかにできない病気です。とりたてて奇怪な行動をとるようなことはありませんが、何となく元気がないなど、本人はもちろん、家族や職場の人なども注意深く観察していれば、ある階で「ちょっとおかしいな」と気づくことができます。

ところが、この仮面うつ病は、人付き合いが悪くなって元気がなくなったといった、いわゆるうつ病らしい症状が精神面には出ません。だるくて朝起きられないといった、体の症状となって現れてくるのです。うつ病らしい精神症状が表に出ず、身体症状によって隠されてしまうことから、仮面をかぶったうつ病= 「仮面うつ病」といわれているのです。

本人にも心が病んでいるといった自覚症状がありません。自覚しないどころか、自分が心の病になるなんて考えもしないのです。本当はストレスが徐々にたまり、SOSが出ているのに、社会で働く以上、多少の悩みは当然だとばかりに、突っ走っている人も多いのです。
病気は、特に20代のはりきって仕事をしようという人たちに急増しています。

眠れない、起きられないは「仮面うつ」の初期症状

仮面うつ病の代表的な症状は、体がだるくて、なかなか朝起きる気がしないというものです。午前中はぼーっととしていて、夕方くらいになってやっと元気が出てくるといった具合です。
朝起きるのが大好きで、いつもすっきりと目覚めている人はあまりいません。そのため、仮面うつ病であっても、自分は朝が弱いんだくらいにしか思わないのです。

このほかに、寝つきが悪いという症状もあります。今までは横になったら1分もたたないうちに寝息をたてていたような人が、1一時間たっても2時間たっても眠れなくなるのです。
しかも、なかなか寝つけないばかりか、やっと眠れたと思ったら、ちょっとした物音で目が覚めてしまいます。また、明け方やっと眠れたかと思ったら、今奮闘している仕事がなかなかうまくいかないなど、気がかりなことが出てくる現実的な夢を見たりします。当然、睡眠時間は少なくなり、ぐつすりぐっすり眠っているわけではないので、睡眠の質も悪くなります。

朝起きられないのはもちろん、起きるとずいぶん疲れた感じで、午前中はどうしようもなく体がだるいという悪循環が起きます。この状態がさらに進めば、頭が重く、気分がすっきりしないことが多くなります。

このほかに、寝つきが悪いという症状もあります。今までは横になったら1分もたたないうちに寝息をたてていたような人が、1時間たっても2時間たっても眠れなくなるのです。しかも、なかなか寝つけないばかりか、やっと眠れたと思ったら、ちょっとした物音で目が覚めてしまいます。また、明け方やっと眠れたかと思ったら、今奮闘している仕事がなかなかうまくいかないなど、気がかりなことが出てくる現実的な夢を見たりします。

当然、睡眠時間は少なくなり、ぐっすり眠っているわけではないので、睡眠の質も悪くなります。朝起きられないのはもちろん、起きるとずいぶん疲れた感じで、午前中はどうしようもなく体がだるいという悪循環が起きます。この状態がさらに進めば、頭が重く、気分がすっきりしないことが多くなります。

「睡眠障害である」という認識が必要

初期の仮面うつ病は、重大な病気というよりは、風邪程度のものと考えてください。ちょっと喉が痛いとか、悪寒がするといった症状の代わりに、朝起きられない、夜寝つけない、そのためにだるくて集中力がないといった症状が出ているのです。

ですから、たまには息抜きも必要で、休み時間にスポーツをしたり、飲みに行ってカラオケで盛り上がったりして発散すれば、自分でも気がつかないうちに治っていることもあります。

朝起きられないということが病気の症状だとは、だれも思いません。まして、仮面うつ病になるような人は、「具合が悪いから今日も休んじゃおう」というのんきなタイプというよりは、がんばり屋の人が多いので、自分の生活態度が悪いとか、自我が弱くて自分に負けてしまっているんだというように、それこそ自分を責めてしまいます。

しかし、それは逆効果なのです。こういう人たちは、こんな大事なときに体調が悪いなんていっていられない。病は気からだと、自分にムチ打って仕事に精を出します。すると、さらに睡眠不足がつのり、集中力もなくなり、体がだるくて仕方ありません。やがては食欲もなくなり、体重も減り始めます。ここまでくるとさすがに、少し体の具合がおかしいんじゃないかという気になり、病院を訪れます。

当然、精神科などは思いもよらず、内科で診察を受けるでしょう。体がだるくなる病気の代表的なものは肝臓障害ですから、まず肝機能検査をするように診断されます。
しかし、原因はストレスですから、肝臓に異常があるはずもありません。「ちょっと疲れがたまっているんでしょう。できるだけゆっくり休養をとったほうがいいですね」と、アドバイスされて終わりです。

原因であるストレスを解消しなくては、少しも症状はおさまらないでしょう。めい人は、体に不調があると、心が滅入るものです。まして、病名もはっきりしないとなれば、いろいろな心配も頭を駆けめぐるでしょう。そして、さらにストレスを生み、どんどん悪化するという悪循環を招きます。

では、どうすればいいのか。仮面うつ病とはストレスによる睡眠障害だと、しっかり認識することです。そのうえで、医師のもとを訪ねてください、
は、抗うつ剤も非常に進歩しています。数週間薬を飲めば、また心地よい睡眠が戻ってくるでしょう。朝起きられないという、一見怠惰に見える状態であっても、睡眠障害がその要因になっている場合があります。
精神の病気だと深刻に考えず、相談でもするつ鴇りで気軽に来院してください。仮面うつ病は、うつ病の中ではごく初期の段階なので、重くならないうちに治しておくことが大切です。

不眠症のつもりが実は「仮面うつ病」だった

いつものようにふとんに入ったのに、いつまでたっても眠気が襲ってこない。眠ろうと思えば思うほど、どんどん眠りから遠ざかり、結局まんじりともしないで朝を迎える。そして、このままじゃ体がもたないと病院に行く。あるいは、ある日突然、夜眠れなくなってしまい、明け方うとうとするだけで朝を迎える。これでは疲れがとれるはずもなく、朝の目覚めはよくないし、体もだるくなり、ついには体調もおかしくなって、医者に相談する。これが、いわゆる「不眠症」です。

原因はストレスに起因することが多いのですが、人によって本当にさまざまです。たとえば、異例のスピードで突然管理職に抜擢され、若手との狭間でどうしていいかわからず、そんなことが頭をもたげてというように、具体的な心配事を抱えている場合もあれば、本人にはまったく思いあたることがないというケースも少なくありません。

ふっと星空を見たときに、「自分はなんて小さな存在なんだろう。この大宇宙に比べたら、眠れるとか眠れないなんて小さなことだ」と思い、すっかりよくなったという人もいるくらいです。
一方、自分は不眠症じゃないかと相談にみえる方のうち、「なぜだか自分でもわからないんですけど、どうも寝つきが悪くて、朝方まで眠れないこともあるんです」というような人が、実は仮面うつ病というケースが多いのです。

仮面うつ病は、精神的には本人に自覚がないのが特徴です。眠れないからと、心配されるほとんどの人が仮面うつ病です。仮面うつ病の場合、眠れないと翌朝つらいからと、お酒を飲んだり、睡眠薬を飲んだりしても、少しもよくなりません。数日間も眠れない日が続いたときは、不眠症ではなく、仮面うつ病を疑ってみるほうがよいでしょう。

専業主婦に多い、もう1つの不眠症

「夜なかなか寝つけなくて、不眠症じゃないか」と相談にみえる方の中で、もう1つのグループは、専業主婦の方々です。この場合、実は昼間のあいている時間に眠っているから夜眠れないという人がほとんどなのです。

子供も学校に通うようになり、便利な家電製品のおかげで家事の時間も短縮され、昼の時間に余裕ができた。そこでついうとうとしてしまい、夜眠れなくなるというパターンです。
毎日忙しくて睡眠時間が足りないときでも、昼間少しでも仮眠をとるとずいぶん楽になったように感じることがあります。たった1,2時間の昼寝で、疲れがすっかりとれてしまうこともあります。けれども、こんな生活では、夜は熟睡できません。

朝は体が重くて起きるのがひと苦労だと、悩んだ末に病院を受診されます。何日も心地よい眠りが得られず、精神的にも不安定な状態になっていますから、昼寝をやめたとたんに夜はぐっすり眠れるようになる… かといえば、必ずしもそうではありません。今夜も眠れないんじゃないか?と意識すれば、睡魔はどんどん遠ざかっていきます。

こういう場合は、昼間に軽いスポーツやヨガなどを始めてみるもよし、生活の中で緊張している時間とリラックスしている時間のめりはりをつけることも大切です。そうすれば、くつろぐべき時間には自然と眠りが訪れ、朝もすっきり目覚めるようになります。
いずれにしろ、不眠症の場合は、眠るということを意識し過ぎないことです。1日、2日眠れなくたって死ぬわけじゃあるまいし… といった大きな気持ちになることが、実は大事なのです。

太っていていぴきが大きい人に多い「夜間無呼吸症候群」

「夜間無呼吸症候群」は、なじみのない痛名かもしれませんが、睡眠障害の1つです。これはその名のとおり、夜、眠っているあいだに、一瞬呼吸が止まってしまうという恐ろしい病気です。「睡眠時無呼吸症候群」とも呼ばれます。

どうも朝起きるのがつらい、昼間でもどうしようもない眠気に襲われるという人のうち、太っていていびきが大きい人は、まず、この病気を疑ってみてくださすもうい。というのも、この病気にかかっている人のほとんどは、お相撲さんのように太っていて、ガーッガと大きないびきをかく人だからです。

年齢には関係ありません。実際、20代のお相撲さんで、この病気にかかっている人も多いのです。そして全員に共通しているのが、まさかそんな病気だとは夢にも思っていない点です。
睡眠時無呼吸症候群はこちら

肥満が原因で寝ているあいだに呼吸が止まる

この病気の原因は、極度の肥満です。肥満のために喉の周辺にも肉がたくさんついてしまい、舌の根っこの部分の筋肉がすっかりゆるんでしまっているのです。
立っているときは問題ありませんが、寝た姿勢になると、舌や舌の根っこのゆるんだ筋肉が気管に落ち込んでしまいます。それがじゃまになって、気管を通っているて吐き出される呼気がうまく外に出ることができず、それでも狭いところ一を無理やり通ろうとするので、抵抗音がいびきとなって出てくるのです。

ところが、寝ているあいだに何度か、気管がゆるんだ筋肉に完全にさえぎられ、呼気が外へ出られなくなってしまうことがあります。ほんの30秒か1分ことですが、そのために呼吸が止まり、脳に酸素が届かなくなるので、質のせ眠りが妨害されます。

その結果、睡眠時間は長いのに睡眠不足の状態となり、仕事中に猛烈な眠気に襲われ、居眠りをしてしまうわけです。太っていていびきをかく人は、ガッすごいいびきをかいていたのに、一瞬パタッとい息が止まることがないかどうか、家族の方に聞いてみてください。
この病気の場合も、意思の強さだけではどうしようもありませんが、きち′した治療が必要ですから、不安な方には病院で相談することをおすすめします。

起きる意欲も重要

20代に急増する「消極的出社拒否症」

よく、年をとると早く目が覚めるなどといいますが、本当はだれでも、眠っていられるのなら、ぬくぬくとしたふとんにくるまっていたいのではないでしょうか。
特に冬場などは、目覚まし時計が鳴り、もう起きなくてはいけないのに、あと5分、10分…と、ぎりぎりまで横になっていた経験を持つ人も多いでしょう。

にもかかわらず、なぜ起きなければならないのかといえば、学校や会社へ行かなければならなかったり、映画やゴルフに行く約束があったりという「理由」があるからです。ところが、最近は、ずるずると寝坊してそのまま学校を休んでしまったり、「もう遅刻だから今日はいいや」と会社を休んでしまう若者が増えています。

それぞれに起きたくない理由が、あるにはあるのです。しかし、それは、外が寒そうだとか、昨日飲み過ぎて体がだるいとか、その日嫌いな科目があるといった、ささいな理由の場合がほとんどです。

また、嫌な上司がいてあいつとは会いたくない、先輩にいじめられる、自分の希望以外の部署に異動させられたなど、会社に行きたくない理由がある場合でも、それをはっきりと自覚しているわけではなく、自分でもよくわからないのだけれども、何となく行きたくないという気分に包まれているケースが増えています。

そのために、もう会社を辞めよう、自分は悪くないんだから正々堂々と闘おうといった主体的な態度に出ることはありません。そこまでの強い気持ちはないのです。嫌なことと闘う気力もなく、とりあえず無意識に逃げてしまっているのでしょう。

黙っていてもバッと目が覚める人ばかりではありません。目覚まし時計で起き、「よし、起きるぞ」と自分を励ましてふとんから出るという場合も多いはずです。
そのとき、楽しいことがあれば起きる意欲は強まり、自分でも自覚できないちょっとしたことが引き金になって、起きる気力がなくなることもあるのです。

無気力は起きる意欲をそぎ落とす

ところが、最近は、嫌なことがあるわけでもないのに、何となく起きられないという人が増えています。会社に行くことに、わざわざ気合いを入れてあたたかいふとんから出るほどの価値を見出していないということです。上司が特別に嫌なわけでもないし、友だちもそこそこいて、行けば行ったで楽しいけれど、わざわざ行くほどの意味を持たない。
かといってほかの仕事をしたいとか、何かやりたいことがあるわけでもない。つまり、人生に生きがいを見出していないのではないでしょうか。仮に、2~3日寝坊して、会社を休むとします。当然上司からは、「何やってるんだ、いいかげんにしなさい」「そんな状態じゃなく、辞めるか、しっかり出てくるかはっきりしなさい」というような電話がかかってくるはずです。上司の立場からいえば、このままじゃ会社を辞めさせられると心配になって出勤してくる、という心積もりがあります。

でも、本人はそういわれると、ますます行きたくなくなるのです。「そんなふうにいわれちゃうんだったら、会社辞めちゃおうかな…」というように、仕事に関しても、生きることに関しても、そんな程度の執着しか持っていません。

これが、若者たちに蔓延しているこわい現象です。これまでずっと、受験戦争の中で闘う小学生、闘う中学生をやってきたのに、会社に入ってもまた同じように闘わなければならないと思うと、途方もなく疲れる気分になるのでしょうか。問題なのは、本人もそこまでは気づいていないことです。
思いあたる嫌なことは特にないわけですから、朝きちんと起きられれば、もっと仕事ができるのに…と思っている人もたくさんいます。みなさん一様に、朝起きられないとか、何だか会社に行く気がしないという理由で訪ねてくるのですが、どこを診ても病気ではないし、薬を使ってもいっこうによくならないのです。

自分の意思で起きられない子供たち

最近は、小学生、中学生にも、朝に弱く、午前中はボーッとしているという子供たちが増えつつあるといいます。夜遅くまで塾に通い、家に帰っても、勉強してから寝るというような毎日を送っている子供も多いらしく、考えてみると、無理のない話のようにも思えます。

母親も、子供が疲れているだろうと気遣い、一度、起こして起きなくとも叱るようなことはしません。何度も根気よく声をかけ、遅刻寸前にしぶしぶ起きても、何とか学校に間に合っているんだからと許してしまうおかあさんも多いと思います。

こうして、小さいころから「朝に弱い」生活が始まるわけです。しかし、ちょつと考えてみてください。先ほど、「させられる人生」「してあげる人生」を送ってきた人は、人生に生きがいを見出していない…という話をしましたが、こうして、朝起きるまで起こしてあげるのが当たり前というところから、子供たちの「させられる人生」「してあげる人生」が始まるのです。今では、戦後の二人っ子世代が親になる時代です。すっかり平和で豊かになった世の中で、その子供たちは、愛情過多による過保護、過干渉で育てられることが多いようです。

そのせいで、自我の形成が遅れ、大人になっても自分で自分を抑制できない人が増えています。そして、朝起きられないなどという程度にとどまらず、過食症や拒食症といった新しい病気すら出現することになりました。
こうして考えていくと、朝、自分の意思で起きるということが、子供たちにとってどれほど重要なことかがおわかりでしょう。いきなり自分で起きなさいというのが無理なら、たとえば、毎朝起こすとき、一度起こしたらもう遅刻しても知らないという態度をとるなど、なぜ起きなければいけないのかを子供たちに考えさせてみるのもよいでしょう。

遅刻したくないとか、友だちを待たせることになるとか、自分の理由が見つかれば、つらくても起きるようになるはずです。それで1,2度失敗して遅刻したところで、自分から起きられるようになることのほうが大切ではないでしょうか。そういう意味では、なぜ朝起きるのか、なぜその高校に入りたいのか、何をするにも、だれかのためにしてあげるとか、だれかにやらされているのではなく、自分の意思でやっているのだという自覚を持たせることが大切だと思います。

本人も気づかない自我の弱さ

「わたしは低血圧だから、朝が苦手」というのは、すっかり決まり文句になっています。しかし、「低血圧だから朝が弱い」という人たちの中には、次のようなグループもあります。それは、自分の眠りとか、もっと眠りたいという気持ちをコントロールするだけの自我の強さを持っていない人たちです。
これも本人は気づいていない場合が多いのです。自分の人生だもの、朝起きようと寝ようと勝手なはずで、自我の話なんて持ち込まないでくれと、少々ムッとする人がいるかもしれません。しかし、この場合は、本当に寝ることが大好きで、自分の意思で寝ていたいから寝るという積極的な人の話ではないのです。本当はもっと余裕を持って家を出たいのに、どうして自分は朝が弱くて、いつもぎりぎりにしか起きられないんだろうと、ぼやいているような人の話です。

たとえば、おかあさんたちは、子供にお弁当を作ってあげなければいけないから、本当は寝ていたいけれども、起きなければならないと思って起きます。このほかにも、大切な会議があるから、自分が行かなければ店がオープンしないからしったと、一種の使命感とか役割意識が、もっと寝ていたいという自分を叱咤激励して起こすわけです。

朝早く日が覚める人が、葛藤もなく起きているかというと、そうではありません。一方、自我が弱い人たちは、遅刻しないように眠いのをがまんして朝起きるとか、おいしいものが食べたいけれど給料日前だからがまんするなどといった、自分の欲望をコントロールする訓練ができていないともいえます。

「もっと寝ていたい」気分と「起きなきやいけない」気分との闘いで、常に、「起きなきやいけない」気分が負けてしまっているということです。「自我が弱い」というと大げさですが、それは自分の中のささいな部分だったりもするのです。だんだんと仕事を覚え、部下もでき、責任感が出て、もっとしっかりしなくちゃと自覚することで、「朝に弱い」のが治ったという人もいるくらいですから。そういえば? と思いあたる人はいないでしょうか。

不規則な生活がリズムを乱し自律神経を不安定にさせる(体内時計と自律神経)

体内時計を狂わせてしまう原因

現代人は昼夜の区別のない生活を強いられていますが、加えて、非常にアンバランスな豊かさで平和な時代ともいえるでしょう。大学生の大半は、学費はもちろん、生活費も親に仕送りをしてもらっています。
アルバイトをするのは、自分が欲しいものを買うため。生活のためというわけではないので、嫌だったら辞めて、また次を探せばいいという感覚です。

学校を卒業し、働き出すようになっても、親や家族を養わなければならないという話はあまり聞きません。就職状況は一時期より厳しくなったとはいっても、仕事が何もないということではなく、アルバイト感覚の求人であれば山ほどあります。多少貧乏暮らしになろうと、生活できないということはないのです。

こうした社会の中では、時間に拘束されることもありません。寝るのも食事をするのも、テレビを観るのも、働く時間さえ自分の好きなように決められます。
事前に約束したこと以外は、まるで時間的拘束のない生活を送れるわけです。前の晩、朝方までビデオやDVDを観ていて、翌朝起きるのがつらければ、そのまま朝まで眠っていてもいいし、朝起きるのがつらければ、夜のアルバイトを探せばいいということになります。

眠くなったら寝て、お腹が空いたらご飯を食べる。一見、快適な生活に見えなくもありません。何時に起きてもいいのなら、苦労して朝起きる必要なんてないという気もしてきます。

ところが、そうやって思いのままに生活していると、体内時計が狂ってしまうのです。そしてそれが高じると、体にも変調をきたすようになります。眠っても眠ってもすっきり目覚めず、1日中頭がぼーっとしたり、体がだるかったりと、決して健康的な毎日を送れなくなります。そうなると、もう気ままに喜んでいるわけにもいかなくなるのです。快適な生活とは、とてもいえない状態です。

体内時計は25時間のリズムで動く

体内時計は、大脳の松果体というところにセットされており、生理的にはだいたい25時間のリズムで動いています。ですから、朝なのか夜なのか区別のつかない、静かで真っ暗な部屋で体内時計そのままに生活していると、1日1時間ずつ時間が後ろへずれていきます。
すると、12二日後には12時間ずれますから、昼と夜が逆転してしまうことになります。しかし、それでは困るので、わたしたちは、社会的な要請から、25時間のリズムを24時間に直しているのです。朝7時なら7時という決まった時間に目覚まし時計をセットし、強制的に叩き起こして、体内時計のずれを調整しているわけです。

このようにして、わたしたちは、夜決まった時間にべッドに入り、朝もだいたい決まった時間に目を覚まし、1日の活動に入るという睡眠スケジュールで活動してきました。夜と昼が交互に訪れるというリズムにのっとって、ある均衡を保っていたのです。

体は夜が来て昼が来て1日、また夜が来て昼が来て2日たったという認識をしますが、その夜と昼の違いというのは、光で感知しています。

明るいところにいるあいだは、ここが昼だなと思い、そのあと暗くなれば夜だなと思うといったように、暗いところと明るいところが交互にあることで、初めて1日が終わったと認識するのです。

さらに、女性の体の場合は、その昼と夜のセットである1日が28回来ると、次の生理だと認識します。1日のリズムがセットになって、また違う体のリズムも作られているわけです。ところが、時間が自由だからといって、朝までテレビを観て昼間寝ていたかと思えば、早朝からアルバイトに行ったりという、昼夜を無視した不規則な生活を続けていると、体内時計のリズムがめちゃくちゃになってきます。

おまけに、そのような生活では、当然、睡眠時間も4時間だったり、12時間だったりとまちまちで、リズムも何もあったものではありません。昼間でも、カーテンを引いてぐつすり眠れば疲れはとれるから、いつ眠ってもち睡眠時間の帳尻さえ合えばいいではないかという人もいるでしょう。

けれども、人間の体というのは、あるリズムやメカニズムが保たれていることが大切なのです。その証拠に、朝起きる時間も不規則、夜寝る時間も不規則といった生活をしている人の中には、トータルとしては十分な睡眠時間をとっていても、頭も体もすつきりしないという経験を持っている人も少なくないはずです。
時間は十分でも、きちんと健康的な睡眠をとっていないので、朝も疲れがとりきれず、すっきりと起きられないということになるのです。

体内時計の破壊で起こる病気

不規則な学生生活を終えて、社会人ともなれば、朝は決まった時間に起きなければいけません。初めはつらいかもしれませんが、しばらくがんばれば、徐々に体のリズムが戻り、ほとんどの人は何とか朝起きられるようになります。

ところが、こうして昼と夜の混乱状態が繰り返されているうちに、時差ボケの症状が慢性的になり、本当に朝起きられなくなってしまう人もいるのです。この状態を、アメリカの精神医学会では「睡眠覚醒スケジュール障害」と名づけ、精神障害の1つとして診断の手引き書に登場させているほどです。

体内時計が徐々に狂ってくると、規則的に眠りが襲ってこなくなります。夜になっても眠れず、朝になっても起きられないという生活パターンはもちろんのこと、ついには朝になっても眠れず、眠ったと思えば20時間も続けて眠ってしまったといったように、本来人間が持っていた睡眠と覚醒のリズムが完全に壊れてしまうのです。

人間の体に不要なものは1つもないといわれるとおり、体内時計も必要があってセットされているわけですから、それを一度壊すと、元に戻すのは実にたいへんなのです。

時差ボケの不快さは、経験者の方ならよくおわかりだと思います。頭はぼーっとして、自分の体なのに自分の思うように動かない調子の悪さ。体は疲れているはずなのに、ベッドに入っても目がさえて眠れない。大事な仕事中なのに突然、強烈な眠気に襲われ、ふり払うのに苦労することもあります。

「睡眠覚醒スケジュール障害」とは、毎日、この時差ボケの状態ですから、ひどい場合はまともに仕事もできなくなるほどで、想像以上に深刻な病気といえるでしょう。もちろんその原因は、不規則な生活だけとはいえません。ある日突然、気がついたら翌々日の朝まで眠っていたという人もいます。しかし、

その大半は不規則な生活を続けた結果、徐々に体内時計が壊されて起こるケースが多いのです。現在、この「睡眠覚醒スケジュール障害」でつらい生活をしている人は増加傾向にあります。だれもが当たり前に与えられると思っていた心地よい睡眠に、障害が出始めているのは事実でしょう。

体内時計が狂うと自律神経も狂ってしまう

体内時計が狂ってくると、肉体的にもさまざまな影響が出てきます。人間の体というのは、昼と夜が交互に訪れるというリズムで均衡を保っています。この体のリズムが狂ってくると、夜と昼のスイッチの切り換えが悪くなってくるのです。わたしたちの体は、昼間活動するときは交感神経が優位に働き、各器官が活発に働くようになっています。

その反対に、夜は副交感神経が働き、昼間活発に働いていた各器官が休養をとります。・簡単にいうと、交感神経はエネルギーが消費される方向に、副交感神経はエネルギーを温存する方向に働くと考えてください。しかも、この2つの神経は、体の状況に合わせて調節されるようになっているのです。

体内時計は、この2つの神経のスイッチを「オン」にしたり「オフ」にしたりするという重要な役割を担っています。

夕方になると副交感神経が優位になるように切り換わり、朝になると交感神経が優位になるように切り換わるのです。別の言い方をするなら、夜、スイッチが副交感神経に切り換わるから眠くなり、朝になって再び交感神経に切り換わるから、目覚めて活動ができる体になるともいえます。

ですが、体内時計に狂いが生じると、その切り換えがうまくいかなくなります。昼夜が入りまじったかのような生活にすっかり混乱してしまい、いつ交感神経をオンにすればいいのか、いつ副交感神経に切り換えればいいのか、わからなくなってしまうのです。

この切り換えがうまくいかないと、夜は眠くならないし、朝は起きられないということになります。起きられないのを無理やり起こしても、スイッチがなかなか切り換わりませんから、意識が謄胞として、寝ているのか起きているのかわからないような状態になるわけです。

こういう場合、ほとんどの人が「自分は低血圧で朝が苦手だ」といいます。たしかに症状は低血圧なのですが、原因が体内時計の破壊にあることには気づかないのです。

そのうえ、体内時計のリズムが狂うと、朝起きられないばかりか、体内の臓器の働きや各分泌系の活動、筋肉の動きなどもめちゃくちゃになり、不健康な状態になります。
その最たるものが「自律神経失調症」です。この病気は、食欲不振や生理不順どを引き起こします。やがて、副腎皮質ホルモンの分泌など、体のバランスを保つのに重要な内分泌系にも異常をきたし、思わぬ障害につながっていく可能性もあります。このように、体内時計は重要な役目をになっています。かつては「朝起きられない怠け病」と思われていた「睡眠覚醒スケジュール障害」が、最近注目され出したのも、眠りのリズムが狂うだけではなく、肉体的にも影響が大きいからといえるでしょう。

自律神経のバランスが崩れてしまう原因はほかにもこちらにあります

朝に弱い人生は損している

苦手な朝を克服しよう!という決意は自分次第

こうしてみると、朝起きることがそんなに大げさな話なんだろうかと、疑問に思われる方もいるかもしれません。しかし、自分でも気づかないうちに、「させられる人生」や「してあげる人生」を送っている人は多いのです。

これらの人たちは、自分が本当は何がやりたいのか、どのようにして生きていきたいかということを、真剣には考えたことがないといえるかもしれません。

現在の日本では、義務教育は中学校までとなっていますが、ほとんどの人が高校へ進学し、大学まで行く人もまったく珍しくなくなりました。
また、特殊な技術を身につけていなければ、職がないということもありません。飢えることも、生命を脅かされるようなこともない平和な時代ですから、ただぼんやりと日々を過ごすうちに大人になってしまったという人も少なくないでしょう。何となく就職して、適齢期がきたから結婚をする。

自分というものを見つめなくても、一生を送ることは可能です。しかし、一度考えてみてください。朝起きられなくて損をするのは自分なのです。遅刻が続いて上司の借用を失ったとしても、上司には関係がありません。今の会社で働くことを決めたのも、この先だれかと結婚しようとと思ったとしても、こういう人生を送ろうと考えても、決めるのはすべて自分です。

世間の常識や親の意見ではありません。決めるのは自分であると気がつきさえすれば、朝は自然に起きられるようになるはずです。
あるいは、今日は無理に起きる必要はないと判断することもできます。朝起きることも眠ることも、大きくまわっている人生の中のできごとの1つです。決めるのは自分自身であることを忘れないでください。

人生に目覚めれば、朝も目覚める

朝起きることも、24時間という1日の流れの中の1つのできごとです。ですから、これだけを断片的に取り上げても、どうにかなるものではありません。
また、体のバランスの問題だけでもありません。朝起きることと人生のあいだには、次のような探いつながりがあるのです。

  • 夜きちんと眠れば、朝気持ちよく目覚める
  • 朝気持ちよく目覚めれば、朝食がおいしい
  • 朝食をとると、トイレに行きたくなる
  • 排便ですっきりすれば、体調がよくなる
  • 体調がよければ、気分もよくなる
  • 気分がよければ、イキイキしてくる
  • イキイキしていれば、魅力的になる
  • 力的になれば、付き合いも視野も広がる
  • 刺激を受ければ、前向きになる
  • 前向きになると、興味や好奇心が深まる
  • 好寄心が深まると、凍ているのが惜しくなる
  • 起きると楽しいことが待っているので、朝起きようというパワーが出る
  • 起きているときはフルパワーで稼働するので、生活にめりはりが生まれる
  • アクティブに行動するので、夜も熟睡できる

「朝が苦手」「朝がつらい」「朝は嫌い」について自己分析してみる

なぜ、朝が苦手なのだろうか?

現代は、長い人類の歴史の中で、ここまで「眠り」に関して苦労するのは、初めてのことかもしれません。皮肉にも、こちらでも紹介したように、昼夜の別のない社会、めまぐるしいスピードで過ぎる時間の中で、便利に快適になっていく社会環境とは反比例して、人間の体が悲鳴をあげつつあることの証でもあるのでしょう。

「心地よい目覚め」とは、独立して成り立つものではありません。快適に目覚めるためにはきちんと眠ることが必要であり、きちんと眠るためには心も体もリラックスしていなければならない。
このように、すべての要素がつながっています。眠りのリズムにしても、人間の体の中にあるサーカディアンリズムというリズムの中の一部に過ぎません。

排泄、ホルモン、血圧、体温などと同様に、睡眠と覚醒も体のバランスのリズムの1つです。したがって、体は健康だけれども寝起きが悪くて…という人はいません。

1つが変調をきたせば、低血圧や便秘、頭が重いなど、ほかの器官にも影響が出てきます。現代では、「朝に弱い」といっても、単なる寝不足や低血圧というだけではなく、ストレスからくるうつ症状による不眠、肥満による睡眠障害、勤務時間が不規則なための眠りのリズムの変調など、原因のわかりにくいものも数多くあります。

ですから、「朝に弱い」ということだけを取り上げても、何の解決にもなりません。1日の流れの中で、昼でも夕方でも夜でもなくて、朝だけがつらいのはどうしてなのか。まず最初に、この点にスポットをあてて考えてみましょう。

眠りのメカニズムや生活パターンを知ることも、大切なポイントです。熟睡する方法や気持ちよく目覚める方法も役立つでしょう。

「朝に弱い」本当の原因を見つけ出さなければ、本当の解決にはつながりません。

朝起きなければならない理由

朝起きられない人には、さまざまな原因が考えられます。ですが、うつ症状による不眠や「睡眠覚醒スケジュール障害」などの病的な睡眠障害でないかぎり、実は、朝起きるほどの理由がないという人が、ほとんどなのではないでしょうか。

ここでいったん「自分は何のために朝起きるのか」を。「会社があるから仕方ない」「朝起きるのが自然だから」人それぞれに理由があると思います。
もちろん、遅刻の常習者では会社での信用がなくなってしまいます。寝坊して待ち合わせの時間に遅れれば、困ったやつだと友だちにいわれるでしょう。
また、不規則な生活は体のバランスを崩し、快適な生活が送れなくなるのですから、朝起きることは大切です。しかし、自分自身が本当に朝起きたい理由があるかどうかということです。

子供のころを思い出してみてください。普段なら起こされてもなかなか起きないのに、遠足の日や自分が楽しみにしていた日の朝は、起こされる前から起きて出発の時間を待っていたという経験はありませんか。

大人も同じことです。海外旅行などに出かけたとき、夜中過ぎまで食べたり飲んだりしていても、目覚まし時計もセットしていないのに、翌朝早くに目が覚め、身じたくを整えたりするでしょう。だれも文句をいわないのに、さっさと起き出して地図やガイドブックを見ていませんでしたか。

自分自身にやりたいことや目的があれば、だれかに強制されることがなくても起きられるのです。たとえば、会社の受付の女性に恋をしたとします。
朝早く出社しないとその人に会えないとなれば、多少睡眠不足でもバッと起きられるのではないでしょうか。会社には別に行きたくないけど、仕方がないから行ってるだけ。趣味もないし、好きな人もいない。旅行に出かけても、ツアーで予定が組んであるから朝起きるけれど、別に行きたい場所があるわけじゃない…。

これでは、朝起きるのがつらくて当然です。こういう人たちは、自分の人生に、楽しいことを何も見出していないのではないでしょうか。

朝に弱い」は「させられる人生」に通じる

幼いころ、毎朝どのようにして起きていましたか。お母さんに起こしてもらう人、自分で目覚まし時計をかけて起きる人、目覚まし時計が鳴る前から目が覚めていた人、起こされても起きなくて、遅刻をしてはお母さんのせいにしていた人。

起き方にもいろいろありますが、この差が実は大きいのです。普通は、子供のころはだれかに起こしてもらっていても、自我が芽生えてくると自分の意思で起きるようになります。

遅刻をしたくないから、無理をしてでも起きるわけです。ところが、ずっと起こされてしぶしぶ起きていたような人は、起こされたから起きてあげるといった、「させられる人生」「してあげる人生」を送ってきたといえます。「もう時間よ、早く起きなさい」と声をかけられても、いつまでもふとんの中でぐずぐずし、「お願いだから起きてちょうだい。学枚に遅れちゃうわよ」といわれて、やっと起きる。

こういう人たちは、自分は寝ていたいのに、親がうるさいから起きているのに過ぎません。頼まれて起きているから、遅刻をしないですんでいたのです。

このことは、単に「起きる」話だけにとどまりません。親が高校に行けといったから行く。大学に入ってほしいといわれたから勉強する。何1つ自分の意思で決めずに生きてきたという人も少なくないのです。

同様に、自分ではやりたいことがわからないのだけれど、周りの友だちはみんな就職活動をしている。何となく、自分もふらふらしているわけにはいかないだろうと思い、とりあえず会社訪問をし、内定したところに入社する。これでは、いざ朝早く起きなければならないとなつても、自分の中で本当に「起きる」理由は見つかっていませんから、起きようというパワーが出なくても当然でしょう。

子供のころからずっと、起こされてやっと起きていた人は、自分で意思を持って起きるという訓練をしていません。いつもだれかが「お願いだから起きてちょうだい」といってくれていたからこそ、起きてこられたのです。

つまり、起きるための理由を自分で探す必要がありませんでした。ですから、大人になっても、起きる理由がないままなのです。極端にいえば、生きる理由がないのと同じことかもしれません。

自我が確立されていない人は「朝に弱い」

これまで「させられる人生」を送ってきた人には、自分で何かをしようという自我が確立されていない人が少なくありません。朝起きることは、だれもが楽にできることではないでしょう。

だれしもが、朝は眠くてつらいものです。しかし、多くの人は、遅刻をしたくない、今日は映画に行きたい、ダンスの練習がある、デートの約束をしているなど、それぞれの理由があるからこそ、えいっと起き上がります。こうして何年も、眠気と戦いながら、起きる訓練をしてきたのです。
一方、起こされ続けてきた人は、朝のつらさに変わりはないのですが、やりたいことがあるから、自分で自分をコントロールし、がまんをして起きるという経験を積んでいません。そのため、大人になっても、「起きてちょうだい」と頼まれなければ起きる理由が見出せず、「もっと寝ていたい」自分をおさえることができないのです。
そして、結局ふとんの中から抜け出せません。朝起きられないということは、自分では意識しないうちに、「させられる人生」を歩んでいることになります。「起きる」意思を持ち、自分で自分をコントロールできる自我を確立させることが大切です。

朝、起きるのがつらいのは病気?

朝が弱い人はまず自己チェックをおこなってみましょう!

  • 自由にスケジュールが組めたら、朝は9時まで寝ている。
  • 自由にスケジュールが組めたら、夜は24時過ぎまで起きている
  • 毎晩寝る時間が不規則
  • 夜9時にふとんに入っても、なかなか寝つけない
  • いつも24時を過ぎるまでは眠くならない
  • 寝る前にジョギングをして汗を流し、熱いシャワーを浴びてから寝る
  • 朝起きてから、1時間近くしないと調子が出ない
  • 午前中は頭がボーッとしている。
  • 夜になると元気が出て、何軒も飲み歩く
  • 目覚まし時計をとめてから、もう一度寝てしまうことがよくある
  • 家でうたた寝をすることが多い
  • 夜遅くなってから、ついお菓子などを食べてしまう
  • 毎晩酒を飲まないと眠れない
  • 寝つきが悪く、ときどき睡眠薬を飲んでいる
  • 休みの日は昼過ぎまで寝ている
  • 目覚まし時計がなければ起きられない
  • 朝食は食べないで家を出る
  • 8時間は寝ないと体調が悪い
  • 夜、トイレに起きることがよくある

○が5個以上の人は要注意。8個以上の人は、完全に「朝に弱い」夜型です。○のついた項目を少しでも改善するよう、考慮してみてください。

朝、起きられないのは血圧のせい?

最近、「どうもパッと目覚めることができない」「朝に弱くて、午前中は体がだるい」などという若者たちが増えているという話を聞きます。
それに対して、「最近の若いもんはなっとらん」という会社の上司や、「朝に弱いというのも現代病の1つでしょうか」と心配する親御さんの詰もよく聞きます。

また、「自分は低血圧のせいで朝に弱い」と思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。たしかに、朝が苦手という若者たちは増えているようです。「早朝不全症候群」といってもいいかもしれません。
それぞれにいろいろな理由もあるのでしょうが、朝起きられないということは、夜、快適に眠っていないということです。

たった2~3時間の睡眠で気持ちよく目を覚ましたいといっても無理な話です。心地よい眠りを得られなければ、翌朝つらくて起きられない。これは当たり前なわけです。

「最近、毎日寝つきが悪くて、翌日だるくてしようがない」といった、眠りに関する悩みを抱えている方が多くなりました。デパートの一角には「安眠コーナー」まで出現し、寝つきがよくなる快眠CDや、ぐっすり眠れるアロマといった商品がずらりと並んでいるのを見かけます。それほど現代人は、心地よい眠りを手に入れにくくなつているのです。

便利な社会が生活のリズムをおかしくする

ところで、わたしたち現代人は、いつごろからこのように、眠ることに苦労するようになってしまったのでしょう。その原因の1つに、暮らし方の変化が大きく影響しています。

19世紀くらいまでの人間は、日が暮れると活動を停止し、ゆっくり休みをとるというのが、一般的な生活だったと想像できます。それもそのはず、百数十年まくらやみほど前に電気という夢の文明を手に入れるまで、夜は真っ暗闇でした。せいぜい、松明かろうそく、あるいは抽を燃やしたかすかな明かりだけが、この間を照らすものだったのですから、昼間と同じように活動することは不可能です。
昼は活動し、夜は休息するといった生活スケジュールは、自然のなりゆきだったのではないでしょうか。

わたしたち人間は、こうした生活をずっと続けてきたわけですから、本来、夜は静かに眠り、朝になれば目覚めるという体のメカニズムになっているともいえます。しかし、白熱電球の発明と普及により、夜の閤を克服できるようになってかとら、わたしたちの暮らしは大きな変化を遂げました。

夜も明るく照らしてくれるから、もう暗闇を恐れる必要がなくなったのです。ひと言でいえば、夜も活動できるようになったということです。真っ暗だった夜道に街灯が完備されれば、安心して出かけることもできます。

明るく安全な夜を手に入れたせいで、夜も昼と同じように活動する生活リズムができあがっていったとも考えられます。そして、最近は、この生活リズムがさらに加速されたといえるのではないでしょうか。

深夜のTVやコンビニが昼夜の区別をなくしてしまった

盛り場には朝まで営業する店が並び、ラジオの深夜放送は一晩中おしゃべりしてくれます。レンタルビデオやDVDの普及によって、1日中さまざまな映画を観ることもできます。

テレビゲームは、自宅に終夜営業のゲームセンターをオープンさせたようなものです。昔は、せいぜいスタンドの明かりで本を読むくらいしかなかった夜の娯楽のアイテムが膨大に広がったのです。

さらに、わたしたちを宵っ張りにしたのは深夜のテレビ番組です。各局は、こぞって深夜番組の企画を充実させ、タイムリーな話題で流行を先取りするトーク番組なども多数出現しました。深夜番組が、会社や学校で若者たちの話題に上るようになってきたのです。

こうして徐々に、生活のスケジュールが夜型になっていったのです。また、テレビというのは、とりたてて観たくない番組でもつけっばなしにしていると、ほんやりと観てしまうものです。そして、目も疲れてショボショボになったところで眠りにつき、翌朝目が覚めると、つけっばなしのテレビからニュースが流れていたりします。

これでは心地よい目覚めなど、期待できるわけがありません。もう1つ、昼と夜の区別をなくしたものに、24時間営業のコンビニの普及があげられるでしょう。街が寝静まった夜中でも、コンビニだけは僅々と明かりを灯しています。

一時期、深夜のコンビニにたむろする若者たちの話題が取りざたされたことがありますが、夜の眠りを手に入れられない若者が足を運ぶには、これほど最適な場所はありません。何を買うでもなく、マンガなどを立ち読みしているだけで、一人暮らしの寂しさがまぎれるのでしょう。
それでなくとも、コンビニには深夜でもお弁当やおにぎりがぎつしり並び、あたたかいおでんから冷たい飲み物、店によっては野菜やケーキまで売っています。

数分歩けば、食べたいときに食べたいものが手に入るのです。以前なら多少お腹が空いても、売っていなければあきらめて眠ってしまったはずですが、「ある」のですから出かけていきます。

こうして、昼夜の区別がなくなったことで、新しい欲望が生まれ、それを満足させる社会のシステムが作られつつあります。この先、銀行も24時間営業、電車やバスも24時間運行されるようにでもなつたら、本当に夜も畳もない社会になりかねません。たまに飲み会で遅くなったようなときにはたいへん便利ですが、毎日では体が故障してしまうのも仕方ありません。

みんなが時間に追われている

最近は、高校生の卒業旅行ですら、海外旅行が一般的になりました。しかし、こうしてだれもが簡単に海外に行けるようになったのも、ここ2~30年のことで、昔は一大決心をして、船で何十日もかけて海外に渡ったわけです。
日本国内を考えても、昔なら東京から大阪まで夜行列車で一晩かかっていたのが、新幹線ができ、さらにスピードを求めて改良を重ねた結果、今では2時間半で到着するようになりました。もっと極端にいえば、東京とニューヨーク間も1日で往復可能です。とにかくすごいスピードで日々を送れるようになったのです。

昔は一生のうちの移動距離といっても、せいぜい村の中を歩きまわる程度だったのが、今は比較にならないくらい膨大な範囲と距離を移動するようになったわけです。こうした変化に応じて、人々の許容する世界も広がりました。移動時間が短くなったせいで、商品など、ものの流通も盛んになり、情報が豊富になったこともありますが、昔は村を単位としてしか考えられなかった社会が、今は国どころか地球規模で考えられるようになったのです。

それに拍車をかけたのが情報機器の発達です。文字を鉛筆で紙に書いていた時代から今はEメールやFAXでアッという間に日本全国に届きます。

また、家にいなければ連絡のとりようがなかったのが、携帯電話の普及で、どこにいても連絡がとれるようになりました。その結果、皮肉にも、いつまでたっても仕事が終わらなくなってしまったと、嘆いている人もいます。遊びも同じです。友だちと飲みに行った帰りに携帯電話で連絡をとり、出先の彼を誘ってドライブを楽しむことも可能です。
その途中で携帯のメールや留守電を確認したら別の友だちからの誘いが入っていたので、そのあと合流し、気がついたら朝になっていた 。技術が進歩した結果、生きるスピードがどんどん加速され、昔と比べて、一生のうちで積み上げるものの量がずっと多くなりました。そして、それをクリアしょうと思えば、夜寝ているヒマなんかない!ということにもなるわけです。

ストレスは不眠の原因になる

そのせいで、急増したのがストレスです。受験戦争はどんどん低年齢化し、小学生のうちから毎日の塾通いが当たり前になっています。
そのため、志望大学にやっと入ったと思ったら、くたくたに疲れてしまって、本当にやりたいことを見つけようという余力もありません。
ようやくつかんだ自由な時間ですが、サークル活動やコンパに参加したり、アルバイトで遊ぶお金を稼ぐ程度で、何となく4四年間が過ぎていきます。たとえば順調に大学を卒業し、希望の会社に入ったとします。学生時代とのギャップにふうふういいながら、やっと慣れたと思ったら、少しずつ責任が重くなってきます。

それはそれでうれしいもので、はりきって仕事をやっているうちはいいのですが、昼夜を問わず情報は行き交い、気を抜くことも、ゆっくり食事をとることもできない状況に少しずつ疲れてきます。

それでも、息を抜けば周りに追い越されてしまうので、のんびりするわけにはいきません。そして、だんだん体だけでなく心も疲れてくるのです。まして、日本の会社社会では、出世や派閥など、人間関係においても複雑なことがたくさんあります。

スピードを出し過ぎてオーバーヒートしているうえに、過剰な気づかいもしなければならず、ストレスはたまる一方です。現代人は、精神的には、かなりハードな社会状況の中で生きているといえます。

ストレスをためたまま放っておくと、うつ病などの心の病を引き起こす原因となります。不眠などの症状を訴える人も少なくありません。病気とまではいかなくても、頭を使い過ぎる職業の場合、眠りに影響が出てきます。1日中汗を流し、体が疲れ切っている日の夜はぐつすり眠れます。ところが遵に、頭を使い過ぎた日は、すぐには寝つけません。脳というのは、

自動車のアイドリング(エンジンをある回転数に保っておくもの) のようなもので、あまり熱くなり過ぎていると、夜になってスイッチを切ってもまだ余熱があって、眠りの状態にならないのです。

そこで、なかなか寝つけないからと、ぼんやり遅くまでテレビを観ていたり、お酒を飲んだりしていると、就寝時間が遅くなってしまいます。疲れているのに睡眠時間が少ないのですから、翌朝はつらいということになるのです。

さわやかなな目覚めのために

自分たちの周囲を見渡してみると、たしかに眠りにくい社会環境になっています。たとえば、深夜の高速道路では、宅配便の大型トラックがものすごい勢いで走っています。翌日には送り先へ届いてしまうというシステムは、すっかりわたしたちの生活に定着しているようです。
同様に、24時間営業のコンビニで、何不自由なくさまざまなものが手に入るのも、朝まで消えない繁華街のネオンに誘われて多くの人が夜の街に繰り出すのも、そうやって昼夜の区別のない社会基盤が完成されているからといえるでしょう。

これだけ世界が狭くなり、経済規模が拡大した社会においては、二十四時間昼夜の別なく経済活動を行なうのも、わたしはある程度やむをえないと思っています。そして、このような社会では、夜になったら眠り、朝になったら起きるというメカニズムを保つのは、難しい部分もあるでしょう。

「夜起きていたっていいじゃないか」という人もいるかもしれません。また、今は会社にフレックスタイム制なども導入され、多少朝に弱くても平気だという人もいるでしょう。わたしは、とりたてて早起きをすすめる気持ちはありません。ただ、本書では、早く起きる方法というよりも、心地よく眠り、気持ちよく目覚めるにはどうしたらいいかを考えていきたいと思っています。そもそも快適な眠りを手に入れそうかいれば、目覚めも爽快になり、「朝に弱い」ことはなくなるのですから。

子供のころ、遠足の日などに目覚まし時計が鳴る前から目が覚めてしまって、お弁当ができるのをわくわくして待った経験はありませんか?
気持ちのいい目覚めというのは、睡眠時間が多ければ得られるというものでもありません。「朝に弱い」本当の原因を見つけ、その蒐服法がわかれば、明日からすっきりと目が覚めるようになるはずです。

すっきり目覚めているでしょうか?

さて、実際問題、毎朝本当にすっきりと目覚めている人はどのくらいいるのでしょう。朝はつらいのが当たり前だけれど、社会でやっていくには起きるしかないからと、仕方なく目覚まし時計をとめている人も少なくないかもしれません。習慣になっているから起きているけれど、ちょっと崩れると、不規則な生活にはまってしまう素質を持っている人もいるでしょう